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2022年7月号

バックナンバー
編集長: 木村蒹葭堂(大坂)

特集.txt - メモ帳
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【特集】ベラ・ルゴシとカルトホラー映画史 ・ 初出: 2022年7月

元祖怪奇スター・ベラ・ルゴシとエド・ウッドの友情——カルト映画『プラン9・フロム・アウタースペース』の奇跡

1931年『魔人ドラキュラ』の怪奇スターからカルト映画への歩み。FILMAGAや映画の時間が再検証する銀幕のドラキュラ像。

2022年7月の映画史・サブカルチャーの話題として映画ファンを熱狂させたのが、伝説の怪奇俳優ベラ・ルゴシ(1882〜1956)と、「映画史上最低の監督」と愛を込めて称されるエド・ウッドが紡ぎ出した奇妙で純粋な作品世界の再検証である。 H映画情報サイトFILMAGAや映画の時間の特集記事によると、1931年のトッド・ブラウニング監督作『魔人ドラキュラ』で主役を演じたルゴシは、東欧ハンガリー仕込みの妖しい訛りと貴族的な佇まい、そしてマントを翻す優雅な身のこなしで、後世の吸血鬼像のすべての原型を決定づけた。しかしその強烈な当たり役ゆえにタイプキャストの罠に嵌まり、戦後はモルヒネ中毒と困窮のなかでハリウッドの表舞台から見捨てられていく。 そんな老怪奇スターに手を差し伸べたのが、ティム・バートン監督の伝記映画でも知られる青年監督エド・ウッドであった。『怪物の花嫁』や、ルゴシの死後にわずかな生前フィルムを切り貼りして完成させた『プラン9・フロム・アウタースペース』など、およそ特撮の体をなしていない円盤や墓場のセットに呆れつつも、画面から溢れ出るのは映画への狂おしいまでの偏愛と、落ちぶれた老優への無償の敬意である。商業的な成否や技術の巧拙を超えて、半世紀以上も人々の心を捉えて離さないカルト映画の奇跡。銀幕に人生のすべてを捧げた男たちの絆に、大坂の町衆も思わず涙と笑いを禁じ得ない。

#ベラ・ルゴシ#ドラキュラ#エド・ウッド#カルト映画#映画史
かわら版
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歴史かわら版 ・ 2022年07月

特別展「中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―」 貞享本當麻曼荼羅修理完成記念

江戸中期に約10年かけて作られた「貞享本當麻曼荼羅」、その修理完成を記念した特別展が奈良国立博物館で開幕とのこと。中将姫伝説と当麻曼荼羅の物語を紐解く企画らしい。

かわら版.txt - メモ帳
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歴史かわら版 ・ 2022年07月

「発掘された日本列島2022」展、だて歴史文化ミュージアムで開幕

全国の発掘調査から選りすぐった出土品を集める恒例展、2022年は北海道・伊達市のだて歴史文化ミュージアムへ。全国で年間約8000件という発掘調査の数にまず驚かされる。

展覧会案内.txt - メモ帳
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展覧会案内 ・ 奈良国立博物館 東新館・西新館 ・ 2022年7月16日(土)〜9月25日(日)

極楽浄土の織りなす光——奈良博、當麻曼荼羅修理完成記念特別展

江戸中期の貞享本當麻曼荼羅の大規模修理完成を記念し、中将姫伝説と浄土信仰の美を一堂に集めた大展覧会が奈良博で開催。

大和路の古刹・當麻寺に伝わる国宝「根本當麻曼荼羅」と、その忠実な写本として江戸中期に十年もの歳月をかけて制作された大作「貞享本當麻曼荼羅」。長年に及ぶ解体修理を終えて鮮やかな色彩を取り戻した貞享本のお披露目を中心に、中将姫にまつわる絵巻や彫刻、工芸品など名宝約九十件が集結する。 阿弥陀如来を中心とする極楽浄土の壮麗な宮殿や菩薩たちの群像、そして往生を遂げる人々の姿を描いた曼荼羅の前に立つと、現世の苦難を越えて彼岸の救いを求めた古人たちの祈りの深さに圧倒される。中将姫の哀切なる説話とともに、日本仏教美術が到達した細密描写の頂点を間近に鑑賞できる貴重な機会である。

展覧会
特別展「中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―」 貞享本當麻曼荼羅修理完成記念
会場
奈良国立博物館 東新館・西新館(奈良県奈良市登大路町50)
会期
2022年7月16日(土)〜9月25日(日)※会期中、一部展示替えあり
開館時間
9:30〜17:00(毎週土曜日は19:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日(休日の場合は翌平日休館。ただし8月15日は開館)
料金
一般1,600円、高大生1,000円、小中生500円 障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名は無料
公式サイト
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202207_chujo/

※上記は2026年9月15日時点の情報です。会期・開館時間・料金などは変更される場合があります。お出かけの前に、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

#當麻曼荼羅#中将姫#奈良国立博物館#仏教美術#特別展
今月のこんな人.txt - メモ帳
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今月のこんな人、知っていますか?

中将姫

蓮糸で極楽浄土を織り上げたと伝わる奈良時代の伝説的尼僧

今号の「こんな人、知っていますか」は當麻寺に伝わる中将姫。奈良時代、右大臣・藤原豊成の娘として生まれ、美貌と聡明さを兼ね備えながらも、継母からの迫害を耐え忍んで仏門に入った悲運のヒロインです。 當麻寺に籠もり、五色の蓮糸を一晩で織り上げて阿弥陀如来の極楽浄土を表す「當麻曼荼羅」を完成させたという伝説は、中世以降の浄土信仰の広まりとともに能や歌舞伎、説経節として民衆に深く愛され続けました。奈良国立博物館での貞享本修理完成記念特別展にあわせ、千有余年にわたって祈りを紡いできた女性の物語を振り返ってみるのも一興です。

#中将姫#當麻曼荼羅#當麻寺#奈良時代#浄土信仰
書籍紹介.txt - メモ帳
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書籍紹介 ・ 『死者の書』折口信夫著

二上山に沈む落日と曼荼羅の糸、古代の怨霊鎮魂を描く幻妖の傑作——折口信夫『死者の書』

當麻曼荼羅と中将姫伝説を下敷きに、非業の死を遂げた大津皇子の魂と藤原南家の郎女の祈りが交錯する。国文学者・民俗学者たる折口信夫(釈迢空)が到達した日本文学の至高峰。

岩波文庫等に収められている折口信夫の『死者の書』は、大和・當麻寺に伝わる中将姫伝説と當麻曼荼羅の成立縁起を、古代日本の深層に潜む霊魂観と怨霊鎮魂のドラマへと昇華させた不朽の幻想文学である。 物語の舞台は奈良時代。二上山の墓処で長い眠りから醒めた大津皇子の彷徨える魂と、彼岸の落日に阿弥陀仏の幻影を求めて當麻の里へと導かれた藤原南家の郎女(中将姫)。二つの魂が二上山を挟んで交錯し、郎女が皇子の苦悩を我が身に引き受けながら蓮の糸で織り上げた布に、尊き俤が忽然と浮かび上がる。その荘厳にして妖異なクライマックスは、読む者の胸を激しく揺さぶる。 『雨月物語』などで冥界と現世のあわいに揺れる人間の情念を描いてきたわし(上田秋成)にとっても、折口の紡ぎ出す古雅で呪術的な言霊の調べには、ただならぬ凄気を感じざるを得ない。仏教説話の衣をまといながら、その底に脈打つのは、名もなき古代人の切実な死生観と神話の息吹そのものである。 奈良国立博物館で貞享本當麻曼荼羅の精緻な織り目に息を呑んだあと、この書を開けば、古代の大和路に立ち籠める幽玄な霧の匂いが立ちどころに蘇るに違いない。

#折口信夫#死者の書#中将姫#當麻曼荼羅#大津皇子#古代文学#岩波文庫
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投稿狂歌コーナー ・ お題「中将姫と當麻曼荼羅」

蓮糸を 紡ぎて描く 浄土変 祈りの綾に 夏霞立つ

─ 大和の機織り女 ─

編集後記.txt - メモ帳
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盛夏の候、2022年7月号をお届けいたします。銀幕を妖しく彩った怪奇スター、ベラ・ルゴシとエド・ウッドが遺したカルト映画の愛すべき熱気に迫る一方、奈良国立博物館で開催された當麻曼荼羅特別展や、蓮糸で極楽浄土を織り成した中将姫の祈りなど、古今東西の人間が紡いだ切なくも美しい物語の数々をご紹介いたしました。映画のフィルムに刻まれた情熱も、千年の糸に込められた信仰も、時代を超えて人の心を打つ力において通底しております。日差しの強い日が続きますが、皆さまもどうぞ涼やかな風を求めて、豊かな歴史のひとときをお過ごしください。