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2016年8月号

バックナンバー
編集長: 木村蒹葭堂(大坂)

特集.txt - メモ帳
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【特集】夏目漱石の未公表書簡の発見と没後100年 ・ 初出: 2016年8月

漱石が「電話のかけ方」を先輩に尋ねていた。没後100年の年、我孫子で未公表の書簡2通が見つかる

没後100年を迎えた夏目漱石が、東京朝日新聞の先輩・杉村楚人冠に宛てた未公表の手紙2通が、千葉県我孫子市で見つかった。電話のかけ方を尋ねる文豪の素顔がのぞく。

あの漱石が、電話の前でまごついていた。千葉日報や日本経済新聞によれば、千葉県我孫子市は8月29日、夏目漱石(1867〜1916)が、勤め先の東京朝日新聞社の先輩だったジャーナリスト・杉村楚人冠に宛てた未公表の手紙2通を見つけたと発表した。その中で漱石は、電話の使い方を楚人冠に問い合わせているという。NHKも、当時まだ珍しかった電話のかけ方に戸惑う様子がうかがえると伝えている。 もう一通には、苦い事情もにじむ。朝日新聞によれば、漱石が東京朝日に作った「文芸欄」が社内の対立で廃止され、出社しなくなった後、心配する楚人冠に宛てて「社へ出ぬ事は無精にて怒つてるにあらず」と書いている。怒っているわけではない、と言いながら、この言い訳の丁寧さがかえって本音を語っているようで面白い。千葉日報によれば、書簡は10月に公開される予定だ。 今年は漱石の没後100年にあたる。産経新聞によれば、命日の12月9日に向けて、各出版社が解説本や講演録を相次いで出し、ゆかりの地でも記念行事が予定されている。一方で寂しい知らせもある。日本経済新聞(共同通信)によれば、漱石の英国留学に関する資料を展示してきたロンドンの「ロンドン漱石記念館」が、この9月で閉館することになった。32年にわたり手弁当で運営してきた恒松郁生さんが明らかにしたという。読売新聞によれば、恒松さんは約40年前に東京で手に入れた、漱石の直筆とされる短冊を熊本県玉名市に寄贈している。 書簡の一枚、短冊の一枚に、人の暮らしと心の動きが残る。だからこそ、紙の品は手放さずに伝えていきたい。手紙の文字をこの目で見られる日を、今から楽しみにしとります。

#夏目漱石#杉村楚人冠#書簡#没後100年#我孫子市#ロンドン漱石記念館
▸ 2016-08-29 漱石の未公開書簡発見 我孫子市、10月公開へ(千葉日報ウェブ)▸ 2016-08-30 漱石の未公表の手紙発見 先輩に電話の使い方問う(日本経済新聞)▸ 2016-08-30 夏目漱石が同僚に宛てた未公開書簡を発見 | NHKニュース(NHK)▸ 2016-08-29 漱石から楚人冠へ未公開書簡2通 千葉・我孫子市が調査(朝日新聞)▸ 2016-08-22 夏目漱石没後100年 ゆかりの地で記念行事、解説本や講演録も 命日 ...(産経新聞)▸ 2016-08-30 英の漱石記念館、閉館1年前倒し EU離脱余波で9月に(日本経済新聞)▸ 2016-08-22 漱石直筆の短冊寄贈 玉名市に英国・記念館館長(読売新聞)
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【特集】天正遣欧少年使節を描いたフレスコ画の発見 ・ 初出: 2016年8月

天正遣欧少年使節を描いたフレスコ画、ローマの法王の子孫宅で発見。千々石ミゲルの墓でも墓穴らしき反応

1585年にローマ法王グレゴリウス13世に謁見した天正遣欧少年使節の姿を描いたとみられるフレスコ画が、ローマにある法王の子孫の邸宅で見つかった。長崎では使節の一人、千々石ミゲルの墓の調査も進む。

四百年以上、天井裏で眠っていた絵である。朝日新聞や佐賀新聞(共同通信)によれば、九州のキリシタン大名が16世紀後半にローマへ送った天正遣欧少年使節が、1585年に当時のローマ法王グレゴリウス13世に謁見した様子を描いたとみられるフレスコ画が、ローマにある同法王の子孫の邸宅で見つかった。 使節は、大友宗麟・大村純忠・有馬晴信の名代として1582年に長崎を出た伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルティノの4人の少年である。ローマで法王に会ったことは、日本側・ヨーロッパ側の記録に残る。それが絵として残っていたとなれば、確かに大きな発見だ。 ただし、一歩引いて見ておきたい。絵に描かれた人物が使節その人であると、何をもって確かめるのか。服装、構図、邸宅の来歴、描かれた時期。記事が伝えるのは発見の第一報であって、今後の研究で詰めるべき点は多いはずだ。「見つかった」という見出しと、「確かめられた」という結論とのあいだには、まだ距離がある。 日本側でも調査が進む。長崎新聞によれば、使節の一人・千々石ミゲルの墓とみられる長崎県諫早市多良見町の墓石の周りを地中レーダーで探ったところ、遺体を埋めた墓穴とみられる反応が確認された。9月から発掘する予定だという。ミゲルは帰国後に信仰を捨てたと伝わる人物で、その墓からどんな手がかりが出るのかも気になるところだ。 ローマの天井と、諫早の土の下。遠く離れた二か所から、同じ少年たちの足跡が浮かび上がろうとしている。答えを急がず、続報を待ちたい。

#天正遣欧少年使節#千々石ミゲル#伊東マンショ#グレゴリウス13世#フレスコ画#キリシタン
▸ 2016-08-13 天井裏から天正遣欧少年使節 フレスコ画、法王の子孫宅で発見(朝日新聞)▸ 2016-08-15 天正遣欧少年使節 天井裏からフレスコ画(佐賀新聞)▸ 2016-08-14 千々石ミゲルの墓穴?確認(長崎新聞)
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【特集】盆踊りのギネス記録と、各地で受け継がれる踊り ・ 初出: 2016年8月

八王子の盆踊りが2130人でギネス記録、道頓堀の記録は一年で抜かれた。盆踊りの今を勘定する

東京・八王子で2130人の盆踊りがギネス世界記録に認定された。前の記録は去年の大阪・道頓堀。記録争いの一方で、やぐらが消える町や、25年ぶりに踊りが戻った町もある。

大坂の記録が、たった一年で抜かれてしもうた。朝日新聞によれば、東京都八王子市で8月6日、世界で最も多い人数で踊る盆踊りのギネス記録に市民らが挑み、2130人で新記録を達成した。前の記録は、去年の夏に大阪・道頓堀で2025人が踊ったものだった。産経新聞によれば、大阪府泉佐野市でも同じ記録に挑んだが、こちらは達成できなかったという。記録は逃しても、300年の歴史があるとされる「佐野踊り」を幅広い世代で楽しんだそうだから、損をしたわけではない。 盆踊りには、記録よりも長い歴史を持つものが多い。産経新聞によれば、大分県姫島村の姫島盆踊りは鎌倉時代の念仏踊りが起源とされ、平成24年(2012年)に国の選択無形民俗文化財になった。愛らしい「キツネ踊り」のほか、地区ごとに40種類もの踊りが受け継がれているという。 とはいえ、明るい話ばかりではない。NHKによれば、住民の高齢化や住宅事情の変化で、盆踊りの開催そのものが難しくなり、町内会の盆踊りからやぐらが消えつつあるという。一方、中日新聞によれば、滋賀県野洲市の大篠原街道町では、定年退職した住民有志が集まって、25年ぶりに盆踊りを復活させた。江州音頭の軽快な調子に合わせて、会場に笑顔が広がったそうだ。 わしに言わせれば、盆踊りは町の元気を測るそろばんのようなもんや。人が集まれば屋台が出て、屋台が出れば銭が回る。やぐら一つ立てるのにも手間と銭がかかるが、それで町がひと晩にぎわうなら安いもの。ギネスの記録より、来年も踊りの輪が続くかどうか。そっちのほうが、よっぽど大事な勘定やで。

#盆踊り#ギネス世界記録#八王子まつり#姫島盆踊り#江州音頭#民俗芸能
▸ 2016-08-06 2130人で盆踊り、ギネス記録に認定 八王子まつり(朝日新聞)▸ 2016-08-22 盆踊りのギネス記録に挑戦、結果は…大阪・泉佐野市(産経新聞)▸ 2016-08-15 愛らしく舞う「キツネ踊り」 大分・姫島村(産経ニュース)▸ 2016-08-15 News Up 盆踊りからやぐらが消える(NHK)▸ 2016-08-07 野洲の盆踊り、25年ぶりに復活 大篠原地区(中日新聞)
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

金閣寺で「北山大塔」の破片発見 「幻の110メートルタワー」の姿とは

金閣寺の発掘調査で、室町幕府3代将軍・足利義満が建てたとされる七重塔「北山大塔」の破片が初めて見つかった。高さ約110メートルとも言われる、幻の巨大な塔の手がかりとのこと。

産経新聞 / 2016-08-14
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

興福寺の五重塔・三重塔、比べてみた 初の同時公開

奈良・興福寺の五重塔と三重塔が、初めて同時に公開された。五重塔は少なくとも5回焼けては建て直され、今の塔は室町時代の1426年のものだそうで、二つの塔を見比べられる貴重な機会らしい。

朝日新聞 / 2016-08-15
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

小松帯刀邸「御花畑」の絵図発見

薩長同盟が結ばれた地とも言われる、京都の薩摩藩家老・小松帯刀の屋敷「御花畑」の場所や規模を示す絵図と文書が、鹿児島と京都で相次いで見つかった。今の京都市上京区の3つの町にまたがる、広い屋敷だったらしい。

読売新聞 / 2016-08-08
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

福山藩士の手記に日本初の「鉄道」記述 広島県立歴史博で展示

福山藩の儒学者・江木が、ペリーが2度目に来航した嘉永7年(1854年)に書いた手記に、日本で初めてとみられる「鉄道」の記述があり、広島県立歴史博物館で展示されている。藩主・阿部正弘の側近だった人物とのこと。

産経ニュース / 2016-08-16
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

幸村の娘の義歯を初公開 異なる時期の5点

真田信繁(幸村)の娘で、白石城主・片倉重長の後妻となった阿梅の木製の入れ歯が、8月23日に宮城県白石市の当信寺で初公開される。年を取って歯が減るのに合わせて作り直した5点が残っているそうだ。

河北新報 / 2016-08-22
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

志賀清林の墓、発見に新説 奈良時代の力士で相撲行司の祖

奈良時代の力士で、相撲の行司の祖と伝わる志賀清林の墓(大津市)について、発見の経緯を記した100年以上前のはがき2枚が見つかった。明治の新聞が伝えた話とは違う、もう一つの経緯があったらしい。

京都新聞 / 2016-08-14
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

巨勢町の長崎街道、構口橋の遺構発見 佐賀城下の「入り口」判明

佐賀市巨勢町で、長崎街道の佐賀城下への「入り口」となる構口橋の石垣跡が見つかった。江戸時代の古地図には載っていたものの、正確な場所は分かっていなかったとのこと。

佐賀新聞 / 2016-08-23
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

森鴎外「舞姫」の自筆原稿が初公開

森鴎外の代表作『舞姫』の自筆原稿が、東京都文京区の森鴎外記念館で開催中の企画展「舞姫-恋する近代小説」で初公開されている。明治23年に発表された、鴎外の若き日の作品である。

産経新聞 / 2016-08-22
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

太宰治の文学碑建立、先輩作家2人が尽力 書簡3通発見

太宰治の死後、文学碑を建てようと、井伏鱒二が佐藤春夫に宛てた書簡3通が見つかった。スキャンダルとして騒がれた後輩の業績をたたえようとした、先輩作家たちの思いがにじむ手紙らしい。

日本経済新聞 / 2016-08-23
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

「氷川丸」重要文化財に正式指定…記念展示12月25日まで

横浜の「氷川丸」が、8月17日付の官報で国の重要文化財に正式に指定された。所有する日本郵船は、指定を記念した「まるごと氷川丸展」を12月25日まで開くそうだ。

レスポンス / 2016-08-22
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

歴史都市、発掘に困難も 世界考古学会議京都大会

同志社大学で開かれている世界考古学会議の第8回京都大会で分科会が始まり、公開講演会では「世界文化遺産と現代都市」をテーマに、歴史都市での発掘の成果と難しさが語られたとのこと。

京都新聞 / 2016-08-29
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歴史かわら版 ・ 2016年08月

ふんどし姿の若者らが古式捕鯨再現「鯨踊り」も披露

和歌山県太地町で8月14日、古式捕鯨を再現する「太地浦勇魚祭」が開かれた。ふんどし姿の若者たちが湾内のクジラの模型に乗って格闘し、約400年続く捕鯨の文化を伝えたらしい。

日刊スポーツ / 2016-08-14
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投稿狂歌コーナー ・ お題「盆踊り」

去年の夏 浪花で決めた 世界一 八王子にて 盆と散りけり

─ 道頓堀の踊り残り ─

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2016年8月号をお届けします。今月の目玉は、没後100年の夏目漱石が先輩の杉村楚人冠に宛てた未公表の手紙です。あの漱石が電話のかけ方を尋ねていたと知って、紙の手紙を大事にしてきた身としては、なんやほっとする話でした。 秋成はんはローマで見つかった天正遣欧少年使節のフレスコ画に「見つかった、と、確かめられた、は違う」と釘を刺し、西鶴はんは八王子の盆踊りに道頓堀の記録を抜かれて、ちょっと悔しそうに勘定をはじいております。 かわら版には、金閣寺の幻の七重塔の破片、真田信繁の娘・阿梅の入れ歯、氷川丸の重要文化財指定などを並べました。盆の送り火を眺めつつ、残りの夏もぼちぼち過ごしていきます。