『シヴィライゼーション VI』にキュロス2世率いる「ペルシア」参戦!ゲームが描く古代帝国の栄光
4Gamer.netやGame*Sparkが熱報。マケドニアのアレキサンドロス大王と対比されるアケメネス朝創始者の歴史的プレゼンス。
2017年3月の歴史ゲーム・サブカルチャー界隈において、世界中の歴史ファンを熱狂させたのが、名作シミュレーションゲーム『シヴィライゼーション VI』に新文明「ペルシア」と指導者キュロス2世(キュロス大王)の参戦が決定したという吉報である。 4GamerやGame*Sparkの詳報によると、アケメネス朝ペルシアの創始者たるキュロス2世は、強大なメディア王国を倒して帝国を打ち立てた卓越した軍事指導者であると同時に、バビロン捕囚からのユダヤ人解放や各地の信仰・伝統を尊重した寛容な統治方針で名高い古代オリエント最大の英傑だ。ゲーム内でもその史実を巧みに反映し、交易路の接続によって移動力が高まる「王の道」や、抜き打ちの奇襲戦争で優位に立つ固有能力、精鋭歩兵「不死隊(イモータル)」など、大帝国の建設者たる貫禄が遺憾なく再現されている。 西鶴としても、古の英傑たちが現代の液晶画面上で盤上の駒よろしく相争い、大坂の長屋にいながらにして世界制覇の夢に耽ることができるとは、まことに心憎い世の中になったと感嘆するばかりである。しかも今回のアップデートでは、宿敵たるマケドニアのアレキサンドロス大王と同時に実装されるという心憎い対比演出まで用意されている。ゲームという新たな媒体を通じて、古代帝国の壮大なスケールと歴史のダイナミズムを再発見する絶好の好機といえよう。教科書を開くだけでは味わえない歴史の息吹を、コントローラーを握りしめながら存分に楽しんでいただきたい。
『シヴィライゼーション VI』にキュロス2世率いる「ペルシア」参戦!ゲームが描く古代帝国の栄光
4Gamer.netやGame*Sparkが熱報。マケドニアのアレキサンドロス大王と対比されるアケメネス朝創始者の歴史的プレゼンス。
2017年3月の歴史ゲーム・サブカルチャー界隈において、世界中の歴史ファンを熱狂させたのが、名作シミュレーションゲーム『シヴィライゼーション VI』に新文明「ペルシア」と指導者キュロス2世(キュロス大王)の参戦が決定したという吉報である。 4GamerやGame*Sparkの詳報によると、アケメネス朝ペルシアの創始者たるキュロス2世は、強大なメディア王国を倒して帝国を打ち立てた卓越した軍事指導者であると同時に、バビロン捕囚からのユダヤ人解放や各地の信仰・伝統を尊重した寛容な統治方針で名高い古代オリエント最大の英傑だ。ゲーム内でもその史実を巧みに反映し、交易路の接続によって移動力が高まる「王の道」や、抜き打ちの奇襲戦争で優位に立つ固有能力、精鋭歩兵「不死隊(イモータル)」など、大帝国の建設者たる貫禄が遺憾なく再現されている。 西鶴としても、古の英傑たちが現代の液晶画面上で盤上の駒よろしく相争い、大坂の長屋にいながらにして世界制覇の夢に耽ることができるとは、まことに心憎い世の中になったと感嘆するばかりである。しかも今回のアップデートでは、宿敵たるマケドニアのアレキサンドロス大王と同時に実装されるという心憎い対比演出まで用意されている。ゲームという新たな媒体を通じて、古代帝国の壮大なスケールと歴史のダイナミズムを再発見する絶好の好機といえよう。教科書を開くだけでは味わえない歴史の息吹を、コントローラーを握りしめながら存分に楽しんでいただきたい。
ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ
禁教下の屋久島に単身上陸し、新井白石の『西洋紀聞』を生んだイタリア人司祭
1708年、屋久島の浜に、月代を剃り刀を差した妙な“侍”が現れたと伝わる。正体はシチリア島パレルモ生まれの司祭、ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ(1668〜1714)。禁教の日本へ、たった一人で乗り込んできた宣教師である。 ローマで日本行きを願い出て、1703年に教皇クレメンス11世の命で派遣される。マニラで4年ほど、住み着いた日本人から日本語を学んでの上陸だったが、ほどなく捕らえられ、長崎を経て江戸の切支丹屋敷へ送られた。そこで尋問にあたったのが新井白石で、白石はシドッティの語る西洋の地理や歴史を書き留め、のちに『西洋紀聞』にまとめている。かわら版の伊東マンショが日本からローマへ渡った少年なら、こちらはローマから日本へ渡ってきた人というわけや。 屋敷では世話役の長介・春の夫婦がキリシタンとなったことが明るみに出て、1714年、地下牢で生涯を閉じた。2014年に切支丹屋敷跡から出た人骨は、DNAの調査などからシドッティのものと発表されている。三百年越しに身元が分かったと聞いたら、白石もさぞ驚いたやろなあ。
ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ
禁教下の屋久島に単身上陸し、新井白石の『西洋紀聞』を生んだイタリア人司祭
1708年、屋久島の浜に、月代を剃り刀を差した妙な“侍”が現れたと伝わる。正体はシチリア島パレルモ生まれの司祭、ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ(1668〜1714)。禁教の日本へ、たった一人で乗り込んできた宣教師である。 ローマで日本行きを願い出て、1703年に教皇クレメンス11世の命で派遣される。マニラで4年ほど、住み着いた日本人から日本語を学んでの上陸だったが、ほどなく捕らえられ、長崎を経て江戸の切支丹屋敷へ送られた。そこで尋問にあたったのが新井白石で、白石はシドッティの語る西洋の地理や歴史を書き留め、のちに『西洋紀聞』にまとめている。かわら版の伊東マンショが日本からローマへ渡った少年なら、こちらはローマから日本へ渡ってきた人というわけや。 屋敷では世話役の長介・春の夫婦がキリシタンとなったことが明るみに出て、1714年、地下牢で生涯を閉じた。2014年に切支丹屋敷跡から出た人骨は、DNAの調査などからシドッティのものと発表されている。三百年越しに身元が分かったと聞いたら、白石もさぞ驚いたやろなあ。
海を渡った四人の少年と大航海時代のうねり——若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ』
伊東マンショら4人の少年はなぜローマへ送られたのか。カトリックの世界戦略と戦国日本の交錯を圧倒的なスケールで描き出した大佛次郎賞受賞の傑作。
集英社文庫より刊行されている若桑みどり氏の『クアトロ・ラガッツィ――天正少年使節と世界帝国』(全二巻)は、戦国末期にヨーロッパへ派遣された天正遣欧少年使節の軌跡を、大航海時代というグローバルな世界史の文脈から捉え直した記念碑的大作である。 1582年、織田信長が本能寺に斃れたその年、九州のキリシタン大名たちの名代として長崎を出港した伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノ。一般には「けなげな少年たちの信仰の旅」として美化されがちだが、美術史家である著者は、宗教改革に対抗するイエズス会やスペイン・ポルトガル両帝国の冷徹な世界布教戦略のなかで、少年たちがいかに政治的な「生きた広告塔」として機能させられたかを冷徹に解き明かす。 ルネサンス最末期のイタリア諸都市で熱狂的な歓待を受け、ローマ教皇に謁見した彼らは、何を誇り、何に傷つき、そして帰国後の激しい禁教の嵐のなかでいかに生きたのか。綿密な史料渉猟と美術史の知見が融合した筆致は圧倒的で、東西文明の壮大な邂逅と悲劇のドラマに引き込まれずにはいられない。
海を渡った四人の少年と大航海時代のうねり——若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ』
伊東マンショら4人の少年はなぜローマへ送られたのか。カトリックの世界戦略と戦国日本の交錯を圧倒的なスケールで描き出した大佛次郎賞受賞の傑作。
集英社文庫より刊行されている若桑みどり氏の『クアトロ・ラガッツィ――天正少年使節と世界帝国』(全二巻)は、戦国末期にヨーロッパへ派遣された天正遣欧少年使節の軌跡を、大航海時代というグローバルな世界史の文脈から捉え直した記念碑的大作である。 1582年、織田信長が本能寺に斃れたその年、九州のキリシタン大名たちの名代として長崎を出港した伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノ。一般には「けなげな少年たちの信仰の旅」として美化されがちだが、美術史家である著者は、宗教改革に対抗するイエズス会やスペイン・ポルトガル両帝国の冷徹な世界布教戦略のなかで、少年たちがいかに政治的な「生きた広告塔」として機能させられたかを冷徹に解き明かす。 ルネサンス最末期のイタリア諸都市で熱狂的な歓待を受け、ローマ教皇に謁見した彼らは、何を誇り、何に傷つき、そして帰国後の激しい禁教の嵐のなかでいかに生きたのか。綿密な史料渉猟と美術史の知見が融合した筆致は圧倒的で、東西文明の壮大な邂逅と悲劇のドラマに引き込まれずにはいられない。
盤上に よみがへりたる 大王の 遠征ルートに 夜もすがら耽る
─ 天下の遊惰人 ─
盤上に よみがへりたる 大王の 遠征ルートに 夜もすがら耽る
─ 天下の遊惰人 ─
ローマまで 波越え渡りし 少年が 四百年の 調べに響く
─ 日向の旅鴉 ─
ローマまで 波越え渡りし 少年が 四百年の 調べに響く
─ 日向の旅鴉 ─
2017年3月号をお届けいたします。春の気配が立ち込める今月は、ゲームという現代の表現手段を通じて古代ペルシアの英傑キュロス2世の事績が世界中で再評価される話題を筆頭に、古今東西の多彩な歴史の諸相を取り上げました。禁教下の日本に単身潜入したイタリア人司祭シドッティの数奇な運命や、海を渡った天正遣欧少年使節・伊東マンショの軌跡など、国境や宗教を越えて交錯した人々の情熱とドラマが胸に迫ります。活字だけでなく、ゲームや音楽、城郭での催事など、多様な切り口から歴史の魅力を身近に感じていただければ幸いです。
2017年3月号をお届けいたします。春の気配が立ち込める今月は、ゲームという現代の表現手段を通じて古代ペルシアの英傑キュロス2世の事績が世界中で再評価される話題を筆頭に、古今東西の多彩な歴史の諸相を取り上げました。禁教下の日本に単身潜入したイタリア人司祭シドッティの数奇な運命や、海を渡った天正遣欧少年使節・伊東マンショの軌跡など、国境や宗教を越えて交錯した人々の情熱とドラマが胸に迫ります。活字だけでなく、ゲームや音楽、城郭での催事など、多様な切り口から歴史の魅力を身近に感じていただければ幸いです。