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2018年5月号

バックナンバー
編集長: 木村蒹葭堂(大坂)

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【特集】纒向遺跡のモモの種と邪馬台国論争 ・ 初出: 2018年5月

纒向遺跡のモモの種は卑弥呼の時代のものか。年代測定が「邪馬台国=畿内説」を後押し

邪馬台国の有力候補地・纒向遺跡で出た大量のモモの種が、放射性炭素年代測定で2〜3世紀のものと分かった。卑弥呼の時代と重なる結果は、論争に決着をつけるのだろうか。

たかが桃の種、されど桃の種である。邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向遺跡で、中心的な施設の跡から出た大量のモモの種を放射性炭素(C14)で年代測定したところ、2〜3世紀のものと分かった。毎日新聞は、この成果を邪馬台国論争の「畿内説」にとっての画期と報じている。 四国新聞(共同通信)や時事通信によれば、測定の結果は卑弥呼が生きた時代と重なる。日本経済新聞が伝えるところでは、関係者は「魏志倭人伝に書かれた卑弥呼の時代と一致しており、纒向遺跡が邪馬台国であるというわれわれの主張に沿う」と評価したという。モモは祭祀に使われたとみられており、卑弥呼の「鬼道」と結びつけて語られることも多い。 さて、ここで一度立ち止まりたい。年代測定が示したのは、あくまで「その種が2〜3世紀のものらしい」ということだ。同じ時代に纒向に大きな集落と祭祀の場があったことは確かめられても、そこが魏志倭人伝の言う「邪馬台国」だったかどうかは別の問題である。九州説の側から見れば、同じ時代に九州にも有力な勢力があったはずだ、ということになろう。年代が合うことは必要な条件ではあっても、それだけで十分な条件とは言えない。 とはいえ、纒向で見つかる手がかりは年々積み重なっている。大型の建物跡、各地から運ばれた土器、そして今回の年代。一つひとつは決め手に欠けても、束ねれば無視できない重みになる。 論争が決着するとすれば、それは一粒の種によってではなく、こうした地道な証拠の積み重ねによってだろう。桃の種は、ようやくその束に加わった一本の藁にすぎない。ただし、なかなか丈夫な藁ではある。

#纒向遺跡#邪馬台国#卑弥呼#放射性炭素年代測定#考古学#桜井市
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【特集】伊能忠敬没後200年 ・ 初出: 2018年5月

伊能忠敬、没後200年。佐原に北極星を向く銅像、生家の九十九里から三田まで足跡をたどる催し

日本全国を歩いて測った伊能忠敬が亡くなって、今年で200年。ゆかりの千葉県香取市では記念の行事が開かれ、北極星を向いた銅像が除幕された。各地に残る足跡を拾ってみる。

五十の手習いという言葉があるが、この人の場合は五十からが本番だった。日本全国を測量して歩いた伊能忠敬(1745〜1818)が亡くなって、今年で200年になる。 goo ニュースが伝える千葉テレビの報道によれば、忠敬が商家の当主として暮らした千葉県香取市では、5月20日に顕彰の行事が開かれた。東京新聞によれば、JR佐原駅の南口には、没後200年を記念する忠敬の銅像が建ち、除幕された。像は北極星の方角を向いているという。星の位置で緯度を測った測量家にふさわしい向きである。 忠敬は上総の九十九里の生まれ。毎日新聞の連載は、その生家の跡を訪ね、測量の折には生家のそばを通り過ぎていったという話を紹介している。北海道の測量開始の地にも、4月に新しい像が完成した。毎日新聞によれば、式典には忠敬から7代目の子孫で洋画家の伊能洋さんや、忠敬の弟子の子だった榎本武揚のひ孫も出席したそうだ。兵庫県三田市でも、測量で二度訪れた忠敬の道をたどる催しが開かれたと、神戸新聞が伝えている。 忠敬が商家を隠居して江戸に出たのは50歳のとき。師事したのは、幕府の天文方・高橋至時だった。至時は、大坂の麻田剛立の門から出た天文学者である。朝日新聞が紹介する大阪府貝塚市の「善兵衛ランド」は、忠敬の測量にも使われた望遠鏡を作った岩橋善兵衛ゆかりの施設だ。忠敬の地図の陰には、上方の天文学や職人の技があったわけで、大坂の者としてはちょっと鼻が高い。 忠敬は地図の完成を見ずに世を去り、仕事は弟子たちが引き継いだ。書き残された地図と、各地に残る足跡。そのどちらも、手元に置いて眺めていたくなるものばかりやなあ。

#伊能忠敬#没後200年#香取市#測量#高橋至時#岩橋善兵衛
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【特集】明治150年と大河「西郷どん」——維新ブームの商い ・ 初出: 2018年5月

明治150年、西郷と大久保が酒のラベルに。大河『西郷どん』で沸く維新ブームのそろばん勘定

明治維新から150年、大河『西郷どん』も放送中とあって、維新にちなんだ商品や催しがあちこちで花盛りだ。西郷と大久保の自筆の日本酒から、維新の旅のツアーまで。

西郷と大久保が、一本の酒瓶に仲良く並んだ。THE PAGEによれば、大阪城天守閣が所蔵する西郷隆盛と大久保利通の自筆の書から文字を選んで、日本酒のラベルに仕立てたという。大久保からは「夢」、西郷からは「人」。SAKETIMESによれば、その名も「夢人」で、クラウドファンディングで限定販売が始まったそうだ。西南戦争で袂を分かった二人を、酒の上でだけでも仲直りさせようという趣向らしい。 今年は明治維新から150年。大河ドラマ『西郷どん』も放送中とあって、維新にあやかった商いが花盛りだ。マイナビニュースによれば、高知県では「志国高知 幕末維新博」が第二幕に入った。会場では、大政奉還を見据えつつ武力衝突にも備え、土佐の板垣退助、薩摩の西郷と打ち合わせるよう促した書簡が初めて公開されたという。ぴあ映画生活によれば、東京藝術大学大学美術館では5月26日から「NHK大河ドラマ特別展『西郷どん』」が始まる。航空新聞社によれば、日本旅行も「明治維新をかじる旅」のシリーズを売り出した。 しんみりした話もある。ライブドアニュースによれば、5月6日には鹿児島市の西郷隆盛が眠る墓地で、西南戦争の戦没者を追悼する法要が開かれ、大久保利通のやしゃごも参列した。敵味方に分かれた両家の縁が、150年を経てこうして結ばれる。 記念の年は、商いの好機でもある。酒も旅も展覧会も、維新の名が付けば人が動く。それ自体は結構なことや。ただ、記念の年はいつか終わる。来年、再来年にも客を呼べる土地になれるかどうか。薩摩も土佐も、そこが本当の勝負どころやろうな。

#明治150年#西郷隆盛#大久保利通#西郷どん#幕末維新博#日本酒
▸ 2018-05-16 大阪城に残る西郷・大久保の自筆文字を日本酒ラベルに(THE PAGE)▸ 2018-05-08 大久保利通・西郷隆盛の直筆がラベルに描かれた日本酒「夢人」の ...(SAKETIMES (プレスリリース) (ブログ))▸ 2018-05-08 明治維新から150年--高知県で「志国高知 幕末維新博」第二幕開幕(マイナビニュース)▸ 2018-05-16 西郷隆盛が生きた時代の名品が集結! 東京藝術大学大学美術館にて ...(ぴあ映画生活)▸ 2018-05-31 日本旅行「明治維新をかじる旅」シリーズ発売(航空新聞社 (プレスリリース) (ブログ))▸ 2018-05-08 大久保やしゃご「一歩ずつ進めたら」 西郷の墓地で法要(ライブドアニュース)
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【特集】潜伏キリシタン関連遺産、世界遺産登録へ ・ 初出: 2018年5月

「潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産登録へ。長崎・天草から大阪まで、ひそかに続いた祈りの跡

ユネスコの諮問機関の勧告を受けて、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録される見通しになった。禁教の世を生き延びた信仰の跡を、各地のニュースから拾う。

禁じられた祈りは、どうやって二百数十年も続いたのか。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しになった。NHKの解説によれば、ユネスコの諮問機関の勧告を受けて、今年の登録の可能性が高まったという。日刊スポーツによれば、新規登録の審査は6月29日から7月2日までの4日間に行われる。 産経新聞の記事は、1549年のザビエルによる伝来から、豊臣秀吉の弾圧、二十六聖人の殉教、島原・天草一揆へと続く歴史をたどり、今も人々が祈りを捧げる教会群を紹介している。朝日新聞は、伝統的な宗教や社会と共生しながら、ひそかに信仰を守り続けた人々の文化を写真で伝えている。 新しい発見もあった。熊本日日新聞によれば、長崎県の奈留島で見つかり、潜伏キリシタンが使っていたとされる絹製の「オラショ(祈祷書)」に、天草の大江や崎津といった地名と人物名が書かれていた。海を隔てた島と島の信徒が、禁教の世にも行き来していたのかもしれない。 祈りの跡は九州だけのものではない。毎日放送は、大阪にも伝わる「悲しみのマリア」を取り上げている。弾圧の波はこの地の奥田家にもおよび、一家の男性が江戸に連行され、何度も尋問を受けたという。 旅の身ながら、長崎と天草の教会群にはまだ杖を向けたことがない。登録が決まったら、潮風の中に建つ天主堂を、ゆっくり歩いて訪ねてみたい。

#潜伏キリシタン#世界遺産#長崎#天草#オラショ#キリシタン
かわら版
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歴史かわら版 ・ 2018年05月

高槻城、構造に迫る発見 キリシタン大名の拡張工事跡か

大阪府高槻市の高槻城跡で、キリシタン大名・高山右近が城主となる前に築かれたとみられる堀の跡が見つかった。右近が城主になってから、城を広げるために埋め立てたとみられるそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

【電子版】信長の孫、「織田秀信」別邸か 岐阜城で石組み発見

岐阜城の一角「赤ケ洞」で、巨石を使った石組みが新たに見つかったと岐阜市が5月9日に発表した。文献には、信長の孫・織田秀信の「遊山所」や「風呂」があったと記されているとのこと。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

忍城を描いた絵図一堂に 江戸時代の3図初公開 来月3日まで /埼玉

埼玉県行田市の郷土博物館で、忍城を描いた絵図を集めた収蔵品展「忍城図の世界」が開かれている。江戸時代の阿部家・松平家の時代の城の様子が分かる、初公開の絵図3枚も並ぶそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

七輿山古墳の石室位置や規模 レーダーで掘らず短期で大きな成果

群馬県藤岡市の七輿山古墳を、地中レーダーで掘らずに調べたところ、不明だった石室の位置が初めて分かり、全長も従来より5メートル大きい150メートル超と判明したらしい。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

「池田茶臼山古墳」保護工事完了 新たな観光名所に 大阪・池田市

大阪府池田市の池田茶臼山古墳で、風雨で表面がはげていた墳丘の保護工事が終わった。展望所からの眺めも良く、市は新たな観光名所として売り出すつもりらしい。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

聖武天皇の離宮正殿か 奈良時代前半?の大型建物跡

奈良県吉野で、聖武天皇の離宮の正殿の可能性がある奈良時代前半ごろの大型建物跡が見つかった。柱穴には建て替えの跡があり、天武・持統天皇の時代にさかのぼる可能性もあるという。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

国内最古級の鉄鋳造工房跡 8世紀前半、鍋脚の鋳型も

滋賀県草津市で、8世紀前半の鉄の鋳造工房の跡が見つかった。鍋の脚の鋳型も出ており、明日香村の川原寺跡に次ぐ国内最古級の鉄鋳造施設とのこと。藤原京や平城京に鉄を送っていたのかもしれない。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

新指定の重文373点を展示 唐古・鍵考古学ミュージアム 6月1日に ...

奈良県田原本町の唐古・鍵考古学ミュージアムで、新たに国の重要文化財に指定される出土品のうち373点を展示する。弥生時代を代表する大集落から出た土器や木製品などが並ぶらしい。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

増える遺物、保管に苦慮 収蔵庫パンク状態/奈良市埋文センター

奈良市埋蔵文化財調査センターの収蔵庫が、増え続ける出土品でパンク状態になっているらしい。小さな土器片まで遺跡ごとに整理して保管しているため、コンテナは増える一方とのこと。

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歴史かわら版 ・ 2018年05月

江戸の天才絵師・葛飾北斎展 7月14日から浦添市美術館で開催

企画展「江戸の天才絵師 葛飾北斎〜北斎漫画と富嶽百景」が、7月14日から沖縄県の浦添市美術館で開かれる。沖縄タイムス創刊70周年と琉球銀行創立70周年を記念した展覧会とのこと。

沖縄タイムス / 2018-05-16
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歴史かわら版 ・ 2018年05月

新元号公表、改元の1カ月前に 政府方針

政府は、2019年5月1日の改元に向けて、新元号を改元の1か月前に公表する方針を示した。平成の次の元号が何になるのか、発表はまだ少し先になる。

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投稿狂歌コーナー ・ お題「纒向遺跡」

卑弥呼様 食べた桃かと 問われても 種は黙って 年だけ明かす

─ 三輪山の麓の隠居 ─

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2018年5月号をお届けします。長崎と天草の潜伏キリシタンの遺産が、世界遺産に登録される見通しになりました。芭蕉翁は、長崎から大阪まで、ひそかに続いた祈りの跡を拾い集めてくれています。 秋成はんは纒向遺跡のモモの種に「それで邪馬台国と言い切れるのか」と釘を刺し、西鶴はんは明治150年の維新ブームをそろばん片手に眺めております。わたしは伊能忠敬の没後200年を担当しました。忠敬の師匠の高橋至時が大坂の麻田剛立の門から出た人と知って、同じ大坂の者として、ついつい筆に力が入ってしまいました。 かわら版には、高山右近の高槻城の堀、岐阜城の秀信の石組み、改元の段取りなどを並べました。平成も残りわずか。どんな元号になるのか、町の噂を楽しみに待っております。