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2019年2月号

バックナンバー
編集長: 木村蒹葭堂(大坂)

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【特集】金印の真贋論争と弥生のすずり ・ 初出: 2019年2月

国宝「金印」のニセモノ疑惑に新見解、九州では紀元前のすずりの石片。弥生の倭人は文字を書いたのか

志賀島で見つかった国宝「金印」の真贋をめぐる論争に、新しい見解が出た。同じ2月、九州北部の弥生時代の遺跡から、紀元前のすずりとみられる石片が出ていたことも発表された。

「漢委奴国王」。教科書でおなじみの金印ほど、疑いをかけられ続けた国宝も珍しい。朝日新聞によれば、福岡市の志賀島で出土したこの金印をめぐっては、ニセモノではないかという真贋論争が今もやかましく、そこに新しい見解が加わったという。記事によれば、見つかった当時、福岡藩の学者・亀井南冥は、これこそ中国の史書『後漢書』に記された印だと考えた。 金印が志賀島で見つかったのは天明4年(1784年)。わたしが五十の坂を越えたころのことで、京や大坂の学者仲間のあいだでも、ずいぶんと話の種になったものだ。とはいえ、出てきたいきさつがはっきりしない、形や文字の彫り方が当時の印と合わない、と疑う声は、この二百数十年のあいだ絶えることがなかった。本物と言うにも、偽物と言うにも、決め手がないのである。 同じころ、別の角度から弥生の世に光を当てる発表もあった。日本経済新聞や佐賀新聞によれば、國學院大學の柳田康雄客員教授は、福岡・佐賀両県の弥生時代の遺跡から、紀元前1世紀ごろに作られたすずりの一部とみられる石片3点が出土していたと発表した。すずりがあったとなれば、倭人の中に墨で文字を書いた者がいた可能性が出てくる。 さて、ここは一歩引いて見ておきたい。石片がすずりだというのは、形や使った跡からの見立てである。すずりがあったからといって、そこで何がどれだけ書かれたのかまでは分からない。金印も、すずりも、文字の時代の入り口をうかがわせる手がかりにはなるが、それだけで倭の国の姿を言い切ることはできない。 疑いを持ち続けることは、否定することではない。確かめられることを一つずつ積み上げていけば、いつか金印の真贋にも決着がつく日が来るかもしれない。その日を気長に待ちたい。

#金印#漢委奴国王#志賀島#亀井南冥#すずり#弥生時代
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【特集】太平洋戦争の艦船、海底で相次ぎ発見 ・ 初出: 2019年2月

戦艦「比叡」と米空母「ホーネット」、太平洋戦争で沈んだ艦が相次ぎ海底で見つかる。故ポール・アレン氏の調査チーム

太平洋戦争中に沈んだ旧日本海軍の戦艦「比叡」と、米海軍の空母「ホーネット」が、南太平洋の海底で相次いで見つかった。いずれも、昨年亡くなった米マイクロソフト共同創業者ポール・アレン氏が設立した調査チームによる発見だ。

七十余年のあいだ、深い海の底で眠っていた艦がある。時事通信によれば、太平洋戦争中に沈んだ旧日本海軍の戦艦「比叡」の船体の一部が、1月31日に南太平洋ソロモン諸島のサボ島沖の海底で見つかった。サンケイスポーツによれば、比叡が眠っていたのは水深985メートルの海底だった。 見つけたのは、米マイクロソフトの共同創業者で、昨年10月に亡くなった資産家ポール・アレン氏が設立した財団の調査チームである。サンケイスポーツによれば、このチームはこれまでにも、フィリピン沖で戦艦武蔵とみられる船体を見つけるなど、多くの艦を海底から探し出してきた。ねとらぼは、公開された写真から比叡のどこに注目すべきかを紹介している。 敵味方の区別なく、調査は続く。財経新聞によれば、同じチームは今度はソロモン海で、米空母「ホーネット」を見つけた。ホーネットは、太平洋戦争の序盤に日本本土を初めて空襲した爆撃機を積んで出撃したことで知られる空母である。MSNによれば、発見は沈没から76年ぶりのことだという。 海の底は、陸よりも長く記憶をとどめるのかもしれない。錆びた砲身や甲板の上には、そこで命を落とした多くの人々の最期の時間が、そのまま沈んでいる。 わたしは「夏草や兵どもが夢の跡」と詠んだが、この戦の跡は草ではなく、深い海に覆われている。遠い南の海の底に眠る日米の人々に、静かに手を合わせたい。

#戦艦比叡#空母ホーネット#太平洋戦争#ソロモン諸島#ポール・アレン#海底調査
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【特集】没後・生誕の節目で町おこし——土方歳三、北条早雲、木喰 ・ 初出: 2019年2月

土方歳三は没後150年、北条早雲は没後500年、木喰上人は生誕300年。2019年は「節目の年」で町おこし

2019年は、歴史上の人物の節目の年が重なる。新選組の土方歳三が没後150年、戦国大名の北条早雲が没後500年、仏像を彫り歩いた木喰上人が生誕300年。ゆかりの地では、この節目を町おこしに生かそうとしている。

節目の年は、商いの好機である。日本経済新聞によれば、新選組の土方歳三が生まれ育った東京都日野市は、土方が戊辰戦争で箱館で亡くなってから150年となる今年、年末まで市内の各地で関連の催しを開くなどして町をPRしている。全国に名の知れた郷土の英雄を、放っておく手はない。 戦国の世の始まりを告げた男も、節目を迎えた。産経新聞に載った告知によれば、北条早雲は2019年で没後500年。戦略と知謀で下克上を果たした早雲を再評価し、ゆかりの地を歩く「早雲歩き」を呼びかけている。応仁の乱の京へのぼったのはなぜか、駿河へ向かったのはなぜか、と、早雲の足取りをたどる趣向である。 仏像を彫り歩いた旅の僧も、生誕300年を迎えた。関門経済新聞(日向経済新聞)によれば、宮崎県日向市の平岩地蔵尊の祭りでは、木喰上人の生誕300年を記念する式典も開かれた。木喰は江戸時代の1788年に全国を行脚する途中で宮崎を訪れ、この地蔵尊に祭られる「勝軍地蔵尊坐像」を彫ったという。 わしに言わせれば、節目の年というのは、看板の塗り直しみたいなもんや。もともと町にあった宝に、もう一度光を当て直す。土方も早雲も木喰も、もとから町の宝やった。それを「150年」「500年」「300年」という数字でくるんで、改めて売り出すわけや。 ただし、節目の年は一年で終わる。祭りのあとにも客が来てくれる町になれるかどうか。そこが本当の勝負やで。

#土方歳三#北条早雲#木喰#没後150年#町おこし#日野市
かわら版
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歴史かわら版 ・ 2019年02月

徳島の遺跡、縄文の「朱」生産か 遺物300点以上出土

徳島県阿南市の加茂宮ノ前遺跡で、赤い顔料「水銀朱」を作ったとみられる縄文時代後期(約4千〜3千年前)の石臼や石きねが300点以上出土した。朱を塗った耳飾りも見つかり、祭祀に使ったとみられるそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

幕末に佐賀藩設立、ドライドック 側壁支える丸太組み構造出土 9日に ...

世界文化遺産の佐賀市の三重津海軍所跡で、幕末に佐賀藩が造ったドライドックの発掘現場が公開された。今回の調査で、ドックの側壁を支える丸太組みの構造が見つかったとのこと。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

シーボルト事件の新史料発見、獄死の通訳検視記録 長崎学研究所 ...

ドイツ人医師シーボルトが日本地図を国外に持ち出そうとした「シーボルト事件」の新しい史料を、長崎市長崎学研究所が見つけた。事件に関わって獄死した通訳の検視の記録だそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

ニュースの「つぼ」:菅江真澄の和歌発見

江戸時代の旅人・菅江真澄の和歌が、岩手県平泉町の旧家で見つかった。奥州藤原氏3代目・藤原秀衡の六百回忌の催しに寄せたもので、写本とみられるとのこと。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

津田永忠が「家政婦求む」文書 和気・本成寺で発見 隠居後募集か

岡山藩郡代を引退した津田永忠が、隠居先で世話をしてくれる女性を募った文書が、岡山県和気町の本成寺で見つかった。閑谷学校を築いた名奉行の、意外な「家政婦求む」の貼り紙らしい。

山陽新聞 / 2019-02-08
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歴史かわら版 ・ 2019年02月

国宝「宋版史記」に石清水八幡宮の印 現存最古の完存本

国立歴史民俗博物館が持つ国宝「宋版史記」に、石清水八幡宮の印が押されていることが分かった。司馬遷の『史記』を南宋時代に刷った本で、全体がほぼそろう現存最古の完本だそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

原形迫る 写本など2000点、大津で発見 フェノロサ受戒の文書も

大津市歴史博物館が、写本など約2000点が見つかったと発表した。平安時代の僧・源信の著作の原形に最も近いとみられる写本や、明治の美術研究家フェノロサが仏門に入ったときの文書もあるとのこと。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

「梵字」部分に金箔の供養塔、全国初出土 金沢の遺跡で

金沢市の遺跡で、梵字の部分に金箔を押した供養塔が全国で初めて出土した。室町時代の加賀国で一向一揆の勢力が強かったころの、有力寺院の拠点の近くだそうだ。

朝日新聞 / 2019-02-16
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歴史かわら版 ・ 2019年02月

甲府城跡国史跡に 石垣築城時の姿で残る

甲府城跡を国の史跡に指定するよう答申された。関ヶ原の戦いの後は幕府の直轄となり、後の6代将軍・徳川家宣や柳沢吉保が藩主を務めた城で、築城時の野面積みの石垣が残るとのこと。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

江戸初期の世界地図、官軍「山国隊」輩出の地で発見

明治維新で官軍に加わった「山国隊」を出した京都市右京区の山国地域で、江戸初期の世界地図が見つかった。「貿易情報文付き世界地図」と呼ばれるもので、中世の古文書調査の中で確認されたそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

高知市の三翠園から侍屋敷遺構 江戸時代の生活用具出土

高知市の三翠園の敷地内で、江戸時代前期から後期の侍屋敷の遺構や、生活の道具が見つかった。侍屋敷の細かな造りや移り変わりを伝える発見とのこと。

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歴史かわら版 ・ 2019年02月

東寺の国宝「持国天立像」を梱包…上野で特別展

京都・東寺の国宝「持国天立像」が、東京・上野で開かれる特別展に向けて梱包された。空海の教えを表す立体曼荼羅の仏像のうち、史上最多の15体が出品されるそうだ。

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投稿狂歌コーナー ・ お題「金印」

金印は 本物なりや 偽物か 二百年経て まだ判定中

─ 志賀島の釣り人 ─

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2019年2月号をお届けします。寒さの厳しい月ですが、各地から熱い話題が届きました。秋成はんは、志賀島の金印の真贋論争に新しい見解が出たと聞いて、自分が生きていたころに見つかった金印の話やと、いつになく身を乗り出しておりました。 芭蕉翁は、南の海の底で見つかった戦艦比叡と空母ホーネットに手を合わせ、西鶴はんは土方歳三や北条早雲の節目の年を使った町おこしを、そろばん片手に眺めております。 かわら版には、縄文の朱、シーボルト事件の新史料、菅江真澄の和歌、東寺の持国天の上京などを並べました。梅のつぼみもふくらんできました。春はもうすぐです。