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2021年8月号

バックナンバー
編集長: 木村蒹葭堂(大坂)

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【特集】世界遺産登録後の縄文遺跡群 ・ 初出: 2021年8月

縄文遺跡群、世界遺産登録後の初の週末に人の波。垣ノ島遺跡は公開開始、八戸駅にはのぼり旗、御所野は縄文スイーツ

「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されて初めての週末、函館や青森の遺跡には多くの人が訪れた。駅にはのぼり旗が立ち、遺跡をイメージしたソフトクリームも登場した。

世界遺産の看板がかかると、遺跡の空気も少し変わるらしい。北海道ニュースリンクによれば、登録後初の週末となった7月31日、28日に一般公開が始まった函館市の史跡・垣ノ島遺跡をはじめ、函館市縄文文化交流センターや史跡・大船遺跡には、縄文文化に触れようと多くの市民や観光客が訪れた。 青森でも人出があった。東奥日報によれば、31日、青森県内の構成資産の遺跡を訪れた人たちは、「人類の宝」と認められた太古の人々の暮らしに思いをはせた。七戸町の二ツ森貝塚のガイダンス施設でも、「登録で興味が湧いた」「夏休みの思い出に」という声が聞かれた。整備が進めばまた来たい、という来場者もいたそうだ。 町も歓迎の支度に余念がない。Yahoo!ニュースに載った記事によれば、八戸市は、構成資産の一つ是川石器時代遺跡の登録を知らせる「祝・世界遺産、是川石器時代遺跡」ののぼり旗18枚を、JR八戸駅の自由通路に掲げた。岩手県二戸市では、IGRいわて銀河鉄道が運営する飲食店が、一戸町の御所野遺跡をイメージした「縄文スイーツ」を売り出した。地元の奥中山高原の生乳を使ったソフトクリームだという。 わたしも旅の途中で、古い塚や石積みの前に立ったことが何度もある。そこに誰がいて、どんな暮らしをしていたのかを思いながら、しばらく動けなくなる。縄文の人々が一万年あまり暮らした土地を、今度は大勢の人が歩いて回る。遺跡にとっても、なんともにぎやかな夏だろう。 ただ、人が増えれば遺跡への負担も増える。登録はゴールではなく、守りながら見せていくことの始まりである。静かな遺跡の良さを損なわぬように、ゆっくり歩いて味わいたいと思う。

#縄文遺跡群#世界遺産#垣ノ島遺跡#大船遺跡#是川石器時代遺跡#御所野遺跡
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【特集】城ブームと山城の人気 ・ 初出: 2021年8月

「最強の城」一乗谷城に親子で登り、滝山城は築城500年。城ブームの一方で「失われた歴史も大切」と専門家は警鐘

福井の一乗谷城では「最強の城」として注目される山城遺構を親子で歩く催しが開かれ、八王子の滝山城は築城500年を迎えた。一方、城郭研究者は、近年の城ブームに伴う復元に懸念も示している。

城ブームは、天守のない山城にまで広がっている。福井新聞によれば、「ふくい城巡りプロジェクト」実行委員会は7月31日、福井市の一乗谷城に親子で登る催しを開いた。家族連れら約20人が、「最強の城」として注目される山城の遺構を見て回り、「天下を取った気分」と声を上げたという。今年は一乗谷朝倉氏遺跡が国の特別史跡に指定されて50年の節目でもある。 東京の八王子にも節目の城がある。読売新聞によれば、戦国時代の城郭史跡・滝山城が今年、築城500年を迎え、市や地元の住民組織が記念の企画を次々と打ち出している。「続日本100名城」にも選ばれた城である。 発掘で城の姿を確かめる動きもある。産経新聞によれば、福岡県の久留米城では、本丸の建物の位置を確かめるため、初めての発掘調査が行われる。 さて、ここで水を差すようだが、京都新聞に載った中井均・滋賀県立大名誉教授の話は読んでおきたい。織豊期城郭研究会の代表を務める中井氏は、日本の城の移り変わりと意義を語ったうえで、近年の城の人気に伴う復元には懸念も示している。見出しにあるとおり、「失われた歴史も大切」だというのだ。 もっともな話である。天守を建て直せば人は来る。だが、焼けたり壊されたりした歴史も、その城の歩みの一部だ。一乗谷の土塁や堀切がありがたいのは、何も建て足していないからこそ、戦国の人々が削った山の形がそのまま見えるからだろう。見たいものを建てるのか、あったものを確かめるのか。城好きこそ、その区別を忘れてはなるまい。

#城郭#一乗谷城#滝山城#久留米城#山城#復元
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【特集】終戦76年、残された物が語る戦争 ・ 初出: 2021年8月

終戦から76年。杉原千畝の「命のビザ」実物、知覧の特攻隊と米駆逐艦、宮崎の掩体壕。残された物が語るあの夏

終戦から76年の夏、戦争の記憶を伝える展示や整備が各地で進む。杉原千畝が発給した「命のビザ」の実物が東京で公開され、知覧特攻平和会館では海底に沈んだ米駆逐艦の調査を紹介。宮崎市は掩体壕を平和教育の場として整えた。

八月は、あの戦争を思う月である。毎日新聞によれば、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った外交官・杉原千畝(1900〜86年)の企画展が、東京・日本橋高島屋で4日から23日まで開かれる。杉原が1940年8月に駐在先のリトアニア・カウナスで発給した「命のビザ」の実物が公開される。東京新聞は、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとした避難民に、杉原が本国の訓令に背いて日本通過のビザを出したと伝えている。 一枚の紙が人の命を救ったのなら、一機の飛行機が人の命を奪ったこともある。毎日新聞によれば、鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館で、企画展「海底からの証言 誠飛行隊とUSSエモンズ」が9月30日まで開かれている。太平洋戦争の末期に出撃した特攻隊と、その攻撃で沈んだ米駆逐艦の調査の結果を紹介するものだ。 戦争の跡は、今も地面に残っている。朝日新聞によれば、宮崎市の本郷地区では、太平洋戦争中に米軍の爆撃から飛行機を守るために造られた「掩体壕」のうち、市が買い取って案内板などを整えた3号壕のお披露目があった。旧海軍の飛行場だった今の宮崎空港の近くに残る壕で、市は平和教育の見学施設にするという。中日新聞によれば、愛知県の刈谷市歴史博物館でも、軍事郵便や千人針などで戦時下の暮らしをたどる展示会「戦時下の刈谷」が開かれている。 わたしは物を集めることを生業のようにしてきたが、戦争の遺品ほど、集めて並べるのに気の重いものはない。ビザも、特攻機の残骸も、千人針も、それを手にした人の命とつながっている。だからこそ、捨てずに残し、見せ続けることに意味がある。 語り部が年々少なくなるなかで、これからは物が語り部の役目を担っていく。76年目の夏、一つ一つの物の前で、足を止めてみたい。

#終戦#杉原千畝#命のビザ#特攻#掩体壕#太平洋戦争
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【特集】夏の怪談と妖怪——怖い浮世絵、四谷怪談、妖怪大戦争 ・ 初出: 2021年8月

夏はやっぱり化け物や。秋田の「怖い浮世絵展」は1万人、仁左衛門と玉三郎の四谷怪談、半世紀ぶりの妖怪大戦争

江戸時代後期の怪談ブームに乗って描かれた幽霊や妖怪の浮世絵を集めた展覧会が秋田で1万人を集めた。歌舞伎座では秋に「東海道四谷怪談」、映画館では1968年の特撮時代劇を下敷きにした「妖怪大戦争」が公開されている。

まあ聞いてほしい。夏の商売は、昔から化け物に限る。朝日新聞によれば、秋田市の秋田県立美術館では、江戸時代の末の怪談ブームに乗じて妖怪や幽霊を描いた作品を集めた「怖い浮世絵展」が開かれている。日本テレビ系のNews24によれば、幽霊や妖怪の浮世絵およそ100点を並べたこの展覧会は、7月10日に始まり、8月16日に入場者が1万人を超えた。 芝居も負けてへん。毎日新聞によれば、四世鶴屋南北の「東海道四谷怪談」が、片岡仁左衛門の民谷伊右衛門、坂東玉三郎のお岩で、東京・歌舞伎座の「九月大歌舞伎」で上演される。仁左衛門の伊右衛門は1967年の初演から数えて4回目、玉三郎との顔合わせは83年以来だという。南北が四谷怪談を書いたのは文政8年(1825年)。夏の芝居に幽霊を出すと客が入る、というのは江戸の芝居小屋の知恵や。 映画もある。中日新聞によれば、1968年に妖怪ブームを巻き起こした特撮時代劇が、寺田心主演の「妖怪大戦争 ガーディアンズ」として13日に全国公開された。アサ芸プラスの記事は、日本中の妖怪に加えて「大魔神」まで加わる豪華版で、これを機に昭和の妖怪ブームが見直されていると伝えている。 わしに言わせれば、化け物ほど息の長い看板役者はおらん。浮世絵の幽霊は二百年前のもんやし、伊右衛門は二百年近く同じ悪事を繰り返しとる。それでも毎年、見物の客は涼みがてら足を運ぶ。怖いもの見たさは、人の性分の中でもいちばん商売になる性分や。 暑い夏、クーラーの効いた美術館や芝居小屋で、背筋をひやりとさせる。江戸の人も今の人も、夏の過ごし方はあんまり変わらんらしいで。

#怪談#妖怪#浮世絵#東海道四谷怪談#鶴屋南北#妖怪大戦争
かわら版
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歴史かわら版 ・ 2021年08月

渋沢栄一のパリ万博派遣、1867年の軌跡をたどる特別展

幕末の慶応3年、徳川昭武の随員としてパリ万博へ渡航した若き日の渋沢栄一に焦点を当てた企画展。近代化の原点を見つめ直す好企画となった。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

江戸城天守の復元模型、皇居東御苑で公開

明暦の大火で焼失した江戸城寛永期天守の30分の1精巧模型が完成し、皇居東御苑の本丸跡で公開とのこと。帝都の中心にそびえた天守の威容が間近で体感できる。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

終戦76年、全国戦没者追悼式 コロナ禍で規模縮小

終戦から76年を迎えた8月15日、日本武道館で全国戦没者追悼式が挙行された。戦争の記憶と平和の尊さを次代へどう継承するかが改めて問われている。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

京都五山送り火、今年も点灯箇所を縮小して実施

京都の夏の夜空を彩る「五山送り火」が、点灯箇所を限定して実施された。静寂の中で浮かび上がる炎に、先祖供養と祈りが捧げられた。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

国宝「十一面観音菩薩立像」東京国立博物館で展示 奈良県外で初公開

奈良県桜井市の聖林寺に伝わる天平彫刻の名品、国宝「十一面観音菩薩立像」が、東京国立博物館の特別展で公開されている。奈良県の外で公開されるのは初めてだそうだ。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

「蛇行剣」県内初の出土 豊川の花の木古墳群

愛知県豊川市の花の木古墳群で、剣身が蛇のように波打つ「蛇行剣」が県内で初めて出土した。国内の出土は九州南部を中心に100例ほどしかない珍しい剣である。

東愛知新聞 / 2021-08-02
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歴史かわら版 ・ 2021年08月

華麗な「太平記絵巻」の世界を 17年ぶりに一挙展示・公開

長大な軍記物語「太平記」を全12巻の絵巻にした「太平記絵巻」が、17年ぶりに一挙に展示・公開される。南北朝の動乱を描いた華やかな絵巻である。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

片町の居酒屋にキリシタン灯籠 江戸時代隠れ信仰の場か 高さ1㍍ ...

金沢市片町の居酒屋の中庭に置かれている高さ1メートルほどの灯籠が、キリシタン灯籠ではないかとみられている。専門家は、一般の建物にあるのは珍しいと話しているという。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

幕末の洋式銃「ゲベール銃」を初展示 長浜・国友鉄砲ミュージアム

火縄銃の一大産地だった近江の国友村の鉄砲鍛冶が作ったとみられる幕末の洋式銃「ゲベール銃」が、長浜市の国友鉄砲ミュージアムで初めて展示されている。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

仏教先進地の輝きたどる 最澄没後1200年、飯田市美術博物館で特別展

最澄の没後1200年に合わせ、飯田市美術博物館が特別展「東山道と伊那谷の古代仏教文化」を開いている。古墳時代から平安時代の伊那谷の仏像や寺の瓦など28点が並ぶ。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

西南戦争で「密通」本当? 薩軍の曽祖父 140年前の最期を検証 7人の ...

西南戦争で命を落とした鹿児島・高尾野の士族、竹添六郎の「ひ孫の会」が、「密通」があったとも伝わる曽祖父の最期を検証する本を自費出版した。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

よみがえる平安時代の“ブルー” 京都・平等院で「文化財復元 ...

宇治の平等院のミュージアム鳳翔館で、文化財の「復元」をテーマにした特別展が開かれている。美術史の研究と科学分析をもとに、平安時代の鮮やかな青がよみがえった。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

病魔払う鏡絵特集/弘前市立博物館ねぷた展

弘前市立博物館の「弘前ねぷた展」で、疫病退散の願いを込め、病魔を払う鬼神・鍾馗などを描いた鏡絵が特集されている。江戸時代の記録からねぷたの歴史もたどれる。

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歴史かわら版 ・ 2021年08月

諭吉の手紙や写真を紹介 中津市の福沢記念館で企画展

大分県中津市の福沢記念館で、福沢諭吉の旅先での手紙や写真5点を紹介する夏の展示「旅先の福沢諭吉」が開かれている。8月31日まで。

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投稿狂歌コーナー ・ お題「四谷怪談」

伊右衛門の 悪事も二百年 飽きもせず 今年もお岩に 化けて出られる

─ 歌舞伎座の大向こう ─

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2021年8月号をお届けします。終戦から76年の夏、杉原千畝の「命のビザ」の実物や、知覧の特攻隊と米駆逐艦の展示、宮崎の掩体壕と、残された物が語る戦争をわたしが担当しました。物を集めるのが好きな身でも、戦争の遺品の前では背筋が伸びます。 芭蕉翁は世界遺産に登録された縄文遺跡群の初の週末をたずね、秋成はんは一乗谷城や滝山城の人気の陰で「失われた歴史も大切」という専門家の声を拾っております。西鶴はんは怖い浮世絵に四谷怪談、妖怪大戦争と、夏の化け物商売の勘定に忙しい。 かわら版には、パリ万博に向かった渋沢栄一の特別展、江戸城天守の復元模型、五山送り火に加え、聖林寺の十一面観音、豊川の蛇行剣などを並べました。残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。