柴田勝家とお市の方、最期の決着——『豊臣兄弟!』賤ヶ岳の一ヶ月
秀吉と勝家の一大決戦がついにクライマックスへ。「愛しかなくて感動」の声が広がる一方、家康より人望を集めた“敗者”の名にも注目が集まった。
大河ドラマ『豊臣兄弟!』が今月ついに大きな山場を迎えた。第32回では秀吉(池松壮亮)が小一郎に後を任せて岐阜へ向かう場面が描かれ、丹羽長秀が羽柴秀吉に屈服する潔い決断に「株が爆上がり」という反響が広がったという。第33回では柴田勝家とお市の方の最期が描かれ、朝日新聞は「愛しかなくて感動」という視聴者の声を伝えている。千利休には「抹茶ラテ作りそう」という軽妙なコメントもついていて、シリアスな展開とネットの反応の温度差がなんとも令和的だった。 個人的に面白かったのが、PRESIDENT Onlineが伝えた「柴田勝家を裏切ったのに“豊臣の大黒柱”に…秀吉に頼られ、家康より人望を集めた“賤ヶ岳の敗者”の名前」という記事。裏切り者が結果的に人望を集めるという歴史の皮肉が、ドラマの文脈とも重なって読み応えがあった。読売新聞は「豊臣秀吉が京都で最初に築いた城は急造?素掘りの外堀跡が見つかる」という考古学的な続報も報じており、本能寺の変翌年という混乱期の権力争いの生々しさが、地中からの発見によって裏付けられた形だ。ドラマと史実がこれだけ密に絡み合う月も珍しい。
柴田勝家とお市の方、最期の決着——『豊臣兄弟!』賤ヶ岳の一ヶ月
秀吉と勝家の一大決戦がついにクライマックスへ。「愛しかなくて感動」の声が広がる一方、家康より人望を集めた“敗者”の名にも注目が集まった。
大河ドラマ『豊臣兄弟!』が今月ついに大きな山場を迎えた。第32回では秀吉(池松壮亮)が小一郎に後を任せて岐阜へ向かう場面が描かれ、丹羽長秀が羽柴秀吉に屈服する潔い決断に「株が爆上がり」という反響が広がったという。第33回では柴田勝家とお市の方の最期が描かれ、朝日新聞は「愛しかなくて感動」という視聴者の声を伝えている。千利休には「抹茶ラテ作りそう」という軽妙なコメントもついていて、シリアスな展開とネットの反応の温度差がなんとも令和的だった。 個人的に面白かったのが、PRESIDENT Onlineが伝えた「柴田勝家を裏切ったのに“豊臣の大黒柱”に…秀吉に頼られ、家康より人望を集めた“賤ヶ岳の敗者”の名前」という記事。裏切り者が結果的に人望を集めるという歴史の皮肉が、ドラマの文脈とも重なって読み応えがあった。読売新聞は「豊臣秀吉が京都で最初に築いた城は急造?素掘りの外堀跡が見つかる」という考古学的な続報も報じており、本能寺の変翌年という混乱期の権力争いの生々しさが、地中からの発見によって裏付けられた形だ。ドラマと史実がこれだけ密に絡み合う月も珍しい。
綾瀬はるかさん、5年連続11回目の会津藩公行列参加へ
冬姫・照姫・八重役の選考も決着し、いよいよ9月20日の本番が近づく会津まつり。福島県誕生150年という節目も重なった、期待の高まる8月。
9月開催の会津まつりに向けて、8月は一気にムードが盛り上がった。まず月初、会津藩公行列の役柄選考会で冬姫・照姫・八重役が決定したというニュース。そして月末、朝日新聞をはじめ各社が一斉に報じたのが、綾瀬はるかさんの藩公行列参加である。大河ドラマ『八重の桜』で新島八重役を演じたことをきっかけに参加を続けており、今年で5年連続11回目とのこと。NHK BSでは1月から『八重の桜』が再放送中とのことで、「リアル山本八重」に会津で会えるという巡り合わせも面白い。綾瀬さんは「福島から元気を全国に」というコメントを寄せていた。 もう一つ見逃せないのが、福島県誕生150年の話題である。毎日新聞デジタルによれば、1876年8月21日に磐前県・旧福島県・若松県の三県が合併して今の「福島県」の形になったとのことで、「はま・なか・あいづ」と呼ばれる歴史も気質も異なる3地方がどう一つの県にまとまったのか、その経緯は今も謎が多いという。会津の存在感がひときわ大きく感じられる8月だったが、こうして150年前の県境の成り立ちまで振り返ると、会津という土地の固有性があらためて浮かび上がってくる。9月号ではいよいよ会津まつり本番のレポートをお届けできそうだ。
綾瀬はるかさん、5年連続11回目の会津藩公行列参加へ
冬姫・照姫・八重役の選考も決着し、いよいよ9月20日の本番が近づく会津まつり。福島県誕生150年という節目も重なった、期待の高まる8月。
9月開催の会津まつりに向けて、8月は一気にムードが盛り上がった。まず月初、会津藩公行列の役柄選考会で冬姫・照姫・八重役が決定したというニュース。そして月末、朝日新聞をはじめ各社が一斉に報じたのが、綾瀬はるかさんの藩公行列参加である。大河ドラマ『八重の桜』で新島八重役を演じたことをきっかけに参加を続けており、今年で5年連続11回目とのこと。NHK BSでは1月から『八重の桜』が再放送中とのことで、「リアル山本八重」に会津で会えるという巡り合わせも面白い。綾瀬さんは「福島から元気を全国に」というコメントを寄せていた。 もう一つ見逃せないのが、福島県誕生150年の話題である。毎日新聞デジタルによれば、1876年8月21日に磐前県・旧福島県・若松県の三県が合併して今の「福島県」の形になったとのことで、「はま・なか・あいづ」と呼ばれる歴史も気質も異なる3地方がどう一つの県にまとまったのか、その経緯は今も謎が多いという。会津の存在感がひときわ大きく感じられる8月だったが、こうして150年前の県境の成り立ちまで振り返ると、会津という土地の固有性があらためて浮かび上がってくる。9月号ではいよいよ会津まつり本番のレポートをお届けできそうだ。
GHQの「WGIP」論、書籍ラッシュで再燃
戦争の記憶をどう語り継ぐか。吉田茂とGHQの対峙から、盛岡で見つかった接収裏付け資料、そして「WGIP」をめぐる論争本まで、終戦の月らしい特集。
終戦記念日を含む8月らしく、GHQをめぐる重厚な話題が続いた。まず産経ニュースの特集「『戦争に負け外交で勝つ』の信念胸に GHQと対峙した吉田茂」。総理就任に際して吉田茂が掲げていたという3つの条件の中身が紹介されており、占領下でどう国家の主導権を取り戻すかという当時の指導者たちの苦闘が伝わってくる。岩手日報では、盛岡・南昌荘のGHQ占領・接収を裏付ける要求書を、33歳の郷土史家が国立公文書館のデータから特定したという地方発のスクープも報じられていた。こうした一次資料の発掘は地味だが、歴史の空白を埋める大事な仕事だと思う。 そしてもう一つの軸が、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」をめぐる書籍ラッシュである。選挙ドットコムがGHQによるWGIPの概要を解説する一方、時事ドットコムなど複数媒体は『WGIP日本人を狂わせた洗脳工作』という新刊が5刷を重ねたと報じていた。「戦後レジームの呪縛」「自虐史観」といった強い言葉が並ぶこのテーマは、歴史認識をめぐる立場によって評価が大きく分かれる領域でもある。中央公論.jpは「GHQの占領政策『ウォー・ギルト・プログラム』とは何だったのか。日本に投げかけられた未完の問い」として、より学術的な整理を試みており、あわせて読むとこのテーマの論点の広がりがよく見えてくる。
GHQの「WGIP」論、書籍ラッシュで再燃
戦争の記憶をどう語り継ぐか。吉田茂とGHQの対峙から、盛岡で見つかった接収裏付け資料、そして「WGIP」をめぐる論争本まで、終戦の月らしい特集。
終戦記念日を含む8月らしく、GHQをめぐる重厚な話題が続いた。まず産経ニュースの特集「『戦争に負け外交で勝つ』の信念胸に GHQと対峙した吉田茂」。総理就任に際して吉田茂が掲げていたという3つの条件の中身が紹介されており、占領下でどう国家の主導権を取り戻すかという当時の指導者たちの苦闘が伝わってくる。岩手日報では、盛岡・南昌荘のGHQ占領・接収を裏付ける要求書を、33歳の郷土史家が国立公文書館のデータから特定したという地方発のスクープも報じられていた。こうした一次資料の発掘は地味だが、歴史の空白を埋める大事な仕事だと思う。 そしてもう一つの軸が、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」をめぐる書籍ラッシュである。選挙ドットコムがGHQによるWGIPの概要を解説する一方、時事ドットコムなど複数媒体は『WGIP日本人を狂わせた洗脳工作』という新刊が5刷を重ねたと報じていた。「戦後レジームの呪縛」「自虐史観」といった強い言葉が並ぶこのテーマは、歴史認識をめぐる立場によって評価が大きく分かれる領域でもある。中央公論.jpは「GHQの占領政策『ウォー・ギルト・プログラム』とは何だったのか。日本に投げかけられた未完の問い」として、より学術的な整理を試みており、あわせて読むとこのテーマの論点の広がりがよく見えてくる。
『おくのほそ道』結びの地で、まさかの自分自身と対面
『おくのほそ道』結びの地として知られる大垣を訪ねてみたら、思いがけず銅像となった我が身と対面してしもうた、という取材の記。

今回の取材先は、美濃国大垣。『おくのほそ道』の旅の最後に訪れた、まさに結びの地である。元禄二年、長い旅路の果てにこの地へ辿り着き、迎えてくれた門人たちと再会を喜んだのち、伊勢の遷宮を見物せんと舟に乗り込んだ、あの秋の一日を思い出す。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」と詠んだのも、この場所でのことである。 ところが今回訪ねてみると、驚いたことに己の姿が銅像になって町に立っておった。笠に杖、旅装束そのままの佇まいで、当人としてはなんとも面映ゆい心地がする。銅像の顔つきを見上げながら、三百年余りの歳月がこの一所にどう積み重なったものか、しばし考え込んでしもうた。水運で栄えたこの町の面影は今も水辺のそこかしこに残っており、当時と変わらぬ川面の光を眺めていると、あの旅の終わりの安堵と、次の旅への未練とが、不思議と入り混じって蘇ってくる。杖を持つ手が、また自然と地を叩きたくなるような、そんな取材であった。
『おくのほそ道』結びの地で、まさかの自分自身と対面
『おくのほそ道』結びの地として知られる大垣を訪ねてみたら、思いがけず銅像となった我が身と対面してしもうた、という取材の記。

今回の取材先は、美濃国大垣。『おくのほそ道』の旅の最後に訪れた、まさに結びの地である。元禄二年、長い旅路の果てにこの地へ辿り着き、迎えてくれた門人たちと再会を喜んだのち、伊勢の遷宮を見物せんと舟に乗り込んだ、あの秋の一日を思い出す。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」と詠んだのも、この場所でのことである。 ところが今回訪ねてみると、驚いたことに己の姿が銅像になって町に立っておった。笠に杖、旅装束そのままの佇まいで、当人としてはなんとも面映ゆい心地がする。銅像の顔つきを見上げながら、三百年余りの歳月がこの一所にどう積み重なったものか、しばし考え込んでしもうた。水運で栄えたこの町の面影は今も水辺のそこかしこに残っており、当時と変わらぬ川面の光を眺めていると、あの旅の終わりの安堵と、次の旅への未練とが、不思議と入り混じって蘇ってくる。杖を持つ手が、また自然と地を叩きたくなるような、そんな取材であった。
飯沼慾斎
大垣の町医者にして、齢七十を過ぎてリンネ式分類に挑んだ本草学者

今号の「こんな人」は飯沼慾斎(1782〜1865)。美濃国大垣(現在の岐阜県大垣市)で開業していた蘭方医である。医業のかたわら本草学(植物の学問)にのめり込み、晩年になってから蘭書を頼りにリンネの分類体系を学び直したというから只者やない。その集大成が『草木図説』で、日本各地の植物およそ千数百種を、西洋式の分類と精緻な図版付きで解説したという大著である。齢七十を超えてから取り組んだ仕事というから、その執念には頭が下がる。江戸期の本草学が近代植物学へと橋渡しされていく、その転換点に立った人物の一人と言えそうだ。
飯沼慾斎
大垣の町医者にして、齢七十を過ぎてリンネ式分類に挑んだ本草学者

今号の「こんな人」は飯沼慾斎(1782〜1865)。美濃国大垣(現在の岐阜県大垣市)で開業していた蘭方医である。医業のかたわら本草学(植物の学問)にのめり込み、晩年になってから蘭書を頼りにリンネの分類体系を学び直したというから只者やない。その集大成が『草木図説』で、日本各地の植物およそ千数百種を、西洋式の分類と精緻な図版付きで解説したという大著である。齢七十を超えてから取り組んだ仕事というから、その執念には頭が下がる。江戸期の本草学が近代植物学へと橋渡しされていく、その転換点に立った人物の一人と言えそうだ。
8月は大河ドラマ『豊臣兄弟!』がいよいよ佳境に入り、会津まつりの本番も目前ということで、書いていて一番気合が入った号かもしれない。綾瀬はるかさんの5年連続参加という継続性には素直に頭が下がるし、GHQと吉田茂の話は終戦記念日らしい重みのあるテーマだった。狛犬の対馬272体図鑑には正直笑ってしまったけど、これくらいの熱量があってこそのジャンルだと思う。来月はついに会津まつり本番、楽しみにしていてください。
8月は大河ドラマ『豊臣兄弟!』がいよいよ佳境に入り、会津まつりの本番も目前ということで、書いていて一番気合が入った号かもしれない。綾瀬はるかさんの5年連続参加という継続性には素直に頭が下がるし、GHQと吉田茂の話は終戦記念日らしい重みのあるテーマだった。狛犬の対馬272体図鑑には正直笑ってしまったけど、これくらいの熱量があってこそのジャンルだと思う。来月はついに会津まつり本番、楽しみにしていてください。