大河『豊臣兄弟!』第34回、まさかの家康主役回
徳川四天王がついに勢揃いする異色の家康主役回に、案の定「史実改変」をめぐる熱い議論がSNSや各メディアを大いに賑わせている。
今号最大の注目トピックはこれだ。仲野太賀主演のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』、いよいよ物語は「天下一統編」後半へと突入し、9月6日放送の第34回「最強のライバル」では、なんと徳川家康(松下洸平)が主役を張る異色回が組まれた。徳川四天王がついに勢揃いし、織田信雄が家康に接近して秀吉打倒を持ちかける一方、秀吉(池松壮亮)は着々と大坂城の築城を進め政治力を見せつける——という展開らしい。前回の第33話では柴田勝家とお市の方が最期をともにする場面が視聴者の間で大きな話題になったばかりで、まったく気が抜けない。 制作統括・松川博敬氏のインタビューが3本立てで公開されているのも見逃せない。「VIVANTに負けてられない」「史実は外してない」と語りつつ、「歴史上は会っていなくても、会ってしゃべらせたい」という創作姿勢を明言していて、この“通説へのアレンジ”を巡ってはPRESIDENT Onlineが「表現の自由を履き違えた」と手厳しく批判する一方、歴史研究者が違和感を指摘する動画まで出てくる始末。毎度おなじみの大河ドラマ論争ではあるものの、今年はいつも以上に熱量が高い気がする。 キャスト面では、千利休役に吉岡秀隆、豊臣秀次役には“戦国Z世代プリンス”と評される山田涼介が起用され、それぞれ制作統括からの起用理由も語られている。また「40年近く仕えた家康を見捨て、秀吉に降った」元重臣・石川数正の末路を追った特集記事も読み応えがあった。小一郎(秀長)没後の展開や“後日譚”的な要素を含む最終回への期待も高まっており、残り3分の1、目が離せない。
大河『豊臣兄弟!』第34回、まさかの家康主役回
徳川四天王がついに勢揃いする異色の家康主役回に、案の定「史実改変」をめぐる熱い議論がSNSや各メディアを大いに賑わせている。
今号最大の注目トピックはこれだ。仲野太賀主演のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』、いよいよ物語は「天下一統編」後半へと突入し、9月6日放送の第34回「最強のライバル」では、なんと徳川家康(松下洸平)が主役を張る異色回が組まれた。徳川四天王がついに勢揃いし、織田信雄が家康に接近して秀吉打倒を持ちかける一方、秀吉(池松壮亮)は着々と大坂城の築城を進め政治力を見せつける——という展開らしい。前回の第33話では柴田勝家とお市の方が最期をともにする場面が視聴者の間で大きな話題になったばかりで、まったく気が抜けない。 制作統括・松川博敬氏のインタビューが3本立てで公開されているのも見逃せない。「VIVANTに負けてられない」「史実は外してない」と語りつつ、「歴史上は会っていなくても、会ってしゃべらせたい」という創作姿勢を明言していて、この“通説へのアレンジ”を巡ってはPRESIDENT Onlineが「表現の自由を履き違えた」と手厳しく批判する一方、歴史研究者が違和感を指摘する動画まで出てくる始末。毎度おなじみの大河ドラマ論争ではあるものの、今年はいつも以上に熱量が高い気がする。 キャスト面では、千利休役に吉岡秀隆、豊臣秀次役には“戦国Z世代プリンス”と評される山田涼介が起用され、それぞれ制作統括からの起用理由も語られている。また「40年近く仕えた家康を見捨て、秀吉に降った」元重臣・石川数正の末路を追った特集記事も読み応えがあった。小一郎(秀長)没後の展開や“後日譚”的な要素を含む最終回への期待も高まっており、残り3分の1、目が離せない。
綾瀬はるかさん、今年も会津藩公行列へ——会津まつり2026、9月20日開催
気づけば十年以上の常連参加。秋の城下町を彩る「会津藩公行列」の熱気と、藩公の歴史を受け継ぐ若松のいまを振り返る。
続いての特集はこちら、9月20日に福島県会津若松市で開催される「会津まつり」の目玉行事「会津藩公行列」。出演者選考会では冬姫・照姫・八重といった役どころが決まり、中学生からは若松二中の生徒が出演することになったそうで、かつら合わせなど準備も着々と進んでいる様子が伝えられている。 そして毎年恒例、俳優の綾瀬はるかさんが今年も特別ゲストとして参加。NHK大河『八重の桜』で主人公・山本八重を演じた縁から、気づけば10年以上にわたって会津まつりに顔を出し続けており、「福島から元気を全国に」「呼んでくれてありがとうなし」というコメントとともに、地元メディア各社がこぞって参加決定を報じていた。地域行事にここまで長く寄り添う芸能人というのも、なかなか珍しいのではないだろうか。 あわせて若松の福西本店では、秩父宮妃・勢津子さま(会津松平家ゆかり)に関する資料展示も行われており、会津と皇室のつながりを紹介する内容になっているという。幕末の会津藩主・松平容保役を、山田裕貴主演ドラマで松本潤が演じるというニュースも今年の頭にあったし、令和のいまも会津藩というコンテンツは元気に回り続けているらしい。
綾瀬はるかさん、今年も会津藩公行列へ——会津まつり2026、9月20日開催
気づけば十年以上の常連参加。秋の城下町を彩る「会津藩公行列」の熱気と、藩公の歴史を受け継ぐ若松のいまを振り返る。
続いての特集はこちら、9月20日に福島県会津若松市で開催される「会津まつり」の目玉行事「会津藩公行列」。出演者選考会では冬姫・照姫・八重といった役どころが決まり、中学生からは若松二中の生徒が出演することになったそうで、かつら合わせなど準備も着々と進んでいる様子が伝えられている。 そして毎年恒例、俳優の綾瀬はるかさんが今年も特別ゲストとして参加。NHK大河『八重の桜』で主人公・山本八重を演じた縁から、気づけば10年以上にわたって会津まつりに顔を出し続けており、「福島から元気を全国に」「呼んでくれてありがとうなし」というコメントとともに、地元メディア各社がこぞって参加決定を報じていた。地域行事にここまで長く寄り添う芸能人というのも、なかなか珍しいのではないだろうか。 あわせて若松の福西本店では、秩父宮妃・勢津子さま(会津松平家ゆかり)に関する資料展示も行われており、会津と皇室のつながりを紹介する内容になっているという。幕末の会津藩主・松平容保役を、山田裕貴主演ドラマで松本潤が演じるというニュースも今年の頭にあったし、令和のいまも会津藩というコンテンツは元気に回り続けているらしい。
「占領下の日本」を写真と文書で辿る、GHQ関連記事総ざらい
立ち食いそばを頬張る将兵のカラー写真から、単一為替レート1ドル360円の決定まで、戦後日本社会の骨格を形作ったGHQ占領期の諸相を辿る。
今回もうひとつの大きな柱がこれ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領政策にまつわる記事群だ。文春オンラインが公開したカラー写真特集では、立ち食いそばをおいしそうに頬張るGHQ将兵や、銀座の露天商、皇居前を行進する米軍戦車、マッカーサーの出待ちをする女性軍人など、当時の空気感がそのまま伝わってくる貴重な一枚が並んでいる。 制度史的な話題も豊富で、1949年4月23日にGHQが日本円と米ドルの為替レートを1ドル360円に定めたという一件や、いわゆる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」の解説記事など、言論・経済のあらゆる面にGHQの影が及んでいたことがうかがえる。日刊ゲンダイの連載「占領下の日本社会」では、GHQの検閲下で旧軍人たちの「本音」がどこに宿ったのかを問う回もあった。 また、学校所蔵のGHQ文書を教材に「80年前を自分事とする」歴史総合の授業を紹介する記事もあり、戦後80年近くを経てなお、占領期というテーマが今なお現在進行形で問い直されていることがよく分かる。敗戦と占領が残した制度や意識の輪郭は、令和のいまも私たちの足元に深く根を張っているのである。
「占領下の日本」を写真と文書で辿る、GHQ関連記事総ざらい
立ち食いそばを頬張る将兵のカラー写真から、単一為替レート1ドル360円の決定まで、戦後日本社会の骨格を形作ったGHQ占領期の諸相を辿る。
今回もうひとつの大きな柱がこれ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領政策にまつわる記事群だ。文春オンラインが公開したカラー写真特集では、立ち食いそばをおいしそうに頬張るGHQ将兵や、銀座の露天商、皇居前を行進する米軍戦車、マッカーサーの出待ちをする女性軍人など、当時の空気感がそのまま伝わってくる貴重な一枚が並んでいる。 制度史的な話題も豊富で、1949年4月23日にGHQが日本円と米ドルの為替レートを1ドル360円に定めたという一件や、いわゆる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」の解説記事など、言論・経済のあらゆる面にGHQの影が及んでいたことがうかがえる。日刊ゲンダイの連載「占領下の日本社会」では、GHQの検閲下で旧軍人たちの「本音」がどこに宿ったのかを問う回もあった。 また、学校所蔵のGHQ文書を教材に「80年前を自分事とする」歴史総合の授業を紹介する記事もあり、戦後80年近くを経てなお、占領期というテーマが今なお現在進行形で問い直されていることがよく分かる。敗戦と占領が残した制度や意識の輪郭は、令和のいまも私たちの足元に深く根を張っているのである。
文人モラエス、徳島でなお慕われ続けて98年――肖像画寄贈から俳句募集、朗読イベントまで
ポルトガル海軍士官から領事、そして徳島の一文人へ——没後98年を経てなお、地元の慕われ方の密度がすごいことになっている。
今号締めくくりの特集はこちら。ヴェンセスラウ・デ・モラエス(1854〜1929)、ポルトガル海軍士官から神戸・大阪の領事を経て、晩年は徳島に居を構え、日本への愛惜を綴った文人だ。妻ヨネ、姪コハルを相次いで見送ったのち徳島を離れず、現地の暮らしをポルトガル語で書き送り続けた末に、当地で没した。「ポルトガルの小泉八雲」と称されることもあるが、こちらは異国の土に骨を埋めたぶん、地元との縁がいっそう濃い。 今年はその縁が続けて表に出た年だった。5〜6月には、モラエスの肖像画を描いた画家の遺族が徳島日本ポルトガル協会へ絵を寄贈し、寄贈者が地元・新町小学校の児童と交流する一幕も。7月2日には没後98年の法要が徳島市の潮音寺で営まれ、20人が集って功績をしのんだという。同じ7月には「モラエス忌」にちなんだ俳句が阿波おどり会館で募られ、新町小学校の部も設けて特選句が選ばれている——旅先の一草一木に句を詠む性分としては、この俳句募集の一件がいちばん心惹かれた。 そして10月12日には、徳島とポルトガルの絆を描く舞台「モラエス翁、ほんとうのやさしさで」が上演されるほか、同日アエルワ(阿波市)では女優・日色ともゑさんによる小品集『おヨネとコハル』の朗読が、ポルトガルギターの調べに乗せて行われる予定だという。没後98年経ってなお、異国の文人ひとりのためにこれだけの催しが積み重なる土地というのも、そうそうあるものではない。
文人モラエス、徳島でなお慕われ続けて98年――肖像画寄贈から俳句募集、朗読イベントまで
ポルトガル海軍士官から領事、そして徳島の一文人へ——没後98年を経てなお、地元の慕われ方の密度がすごいことになっている。
今号締めくくりの特集はこちら。ヴェンセスラウ・デ・モラエス(1854〜1929)、ポルトガル海軍士官から神戸・大阪の領事を経て、晩年は徳島に居を構え、日本への愛惜を綴った文人だ。妻ヨネ、姪コハルを相次いで見送ったのち徳島を離れず、現地の暮らしをポルトガル語で書き送り続けた末に、当地で没した。「ポルトガルの小泉八雲」と称されることもあるが、こちらは異国の土に骨を埋めたぶん、地元との縁がいっそう濃い。 今年はその縁が続けて表に出た年だった。5〜6月には、モラエスの肖像画を描いた画家の遺族が徳島日本ポルトガル協会へ絵を寄贈し、寄贈者が地元・新町小学校の児童と交流する一幕も。7月2日には没後98年の法要が徳島市の潮音寺で営まれ、20人が集って功績をしのんだという。同じ7月には「モラエス忌」にちなんだ俳句が阿波おどり会館で募られ、新町小学校の部も設けて特選句が選ばれている——旅先の一草一木に句を詠む性分としては、この俳句募集の一件がいちばん心惹かれた。 そして10月12日には、徳島とポルトガルの絆を描く舞台「モラエス翁、ほんとうのやさしさで」が上演されるほか、同日アエルワ(阿波市)では女優・日色ともゑさんによる小品集『おヨネとコハル』の朗読が、ポルトガルギターの調べに乗せて行われる予定だという。没後98年経ってなお、異国の文人ひとりのためにこれだけの催しが積み重なる土地というのも、そうそうあるものではない。
「飛鳥・藤原の宮都」、世界遺産のその後——VR石室体験からNHK特番、特別展まで
七月に登録が決まった「飛鳥・藤原の宮都」、二カ月経ったいまも余韻は冷めやらぬどころか、VR体験にNHK特番、秋の特別展と、次々に新しい顔を見せている。
杖を止めて振り返れば、七月二十六日はまだそう遠い日ではない。奈良・橿原の飛鳥京跡や藤原宮跡など古代の宮都遺跡群が、国内二十七件目のユネスコ世界文化遺産として登録が決まったあの日から、早いものでもう二カ月が過ぎた。「日本国家形成の原点」と評されるこの一帯、実のところ地味で分かりにくいとも言われてきた場所だが、登録の余韻はむしろこれから本番を迎えているように見える。 まず驚いたのが、日経新聞が伝えるスマートフォンでのVR体験。古墳の石室内部という、普段はまず立ち入れない場所をその場で覗き込める仕掛けだそうで、遺跡を「見る」から「潜る」へと体験の質そのものを変えてしまう試みだと感じ入った。九月九日にはNHK「歴史探偵」が「藤原京と持統天皇」と題した特番を組み、この巨大な都を築いた女帝の実像に迫っている。九月十五日からは特別展「高照らすみやこ」も始まり、描かれた宮都の姿を絵画資料から辿れるというから、これも見逃せない。 観光の足回りも動き出しているようで、JR東海と近鉄が「安い・浅い・狭い」からの脱却を掲げて奈良観光の底上げに乗り出したとの報や、女性誌が組む「必見七スポット」特集など、訪れる側の裾野を広げる動きも活発だ。八月には古墳の形をした朱印ならぬ「御墳印」がブームの兆しとまで伝えられていて、こういう軽やかな入り口から古代史に触れる人が増えるなら、それはそれで悪くない道行きだと思う。 千三百年の時を経てなお、都の跡はこうして新しい旅人を招き続けている。次にこの地を訪れる折には、この二カ月の動きをすべて確かめてから杖を進めたい。
「飛鳥・藤原の宮都」、世界遺産のその後——VR石室体験からNHK特番、特別展まで
七月に登録が決まった「飛鳥・藤原の宮都」、二カ月経ったいまも余韻は冷めやらぬどころか、VR体験にNHK特番、秋の特別展と、次々に新しい顔を見せている。
杖を止めて振り返れば、七月二十六日はまだそう遠い日ではない。奈良・橿原の飛鳥京跡や藤原宮跡など古代の宮都遺跡群が、国内二十七件目のユネスコ世界文化遺産として登録が決まったあの日から、早いものでもう二カ月が過ぎた。「日本国家形成の原点」と評されるこの一帯、実のところ地味で分かりにくいとも言われてきた場所だが、登録の余韻はむしろこれから本番を迎えているように見える。 まず驚いたのが、日経新聞が伝えるスマートフォンでのVR体験。古墳の石室内部という、普段はまず立ち入れない場所をその場で覗き込める仕掛けだそうで、遺跡を「見る」から「潜る」へと体験の質そのものを変えてしまう試みだと感じ入った。九月九日にはNHK「歴史探偵」が「藤原京と持統天皇」と題した特番を組み、この巨大な都を築いた女帝の実像に迫っている。九月十五日からは特別展「高照らすみやこ」も始まり、描かれた宮都の姿を絵画資料から辿れるというから、これも見逃せない。 観光の足回りも動き出しているようで、JR東海と近鉄が「安い・浅い・狭い」からの脱却を掲げて奈良観光の底上げに乗り出したとの報や、女性誌が組む「必見七スポット」特集など、訪れる側の裾野を広げる動きも活発だ。八月には古墳の形をした朱印ならぬ「御墳印」がブームの兆しとまで伝えられていて、こういう軽やかな入り口から古代史に触れる人が増えるなら、それはそれで悪くない道行きだと思う。 千三百年の時を経てなお、都の跡はこうして新しい旅人を招き続けている。次にこの地を訪れる折には、この二カ月の動きをすべて確かめてから杖を進めたい。
梁山泊、東京駅に現る——「水滸伝」展、北宋の名品から国芳の豪傑74図、幻想水滸伝まで
国芳の「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」全74図に、北宋の名品、北斎、さいとう・たかを、ゲームまで。千年の『水滸伝』受容史が赤レンガの駅舎に集結した。
梁山泊の百八人が、とうとう東京駅の赤レンガに立てこもった。9月19日、東京ステーションギャラリーで「水滸伝」展が幕を開けたんである。大阪市立美術館で7月から9月6日まで開かれていた展覧会の巡回で、中国四大奇書のひとつ『水滸伝』を入口に、物語が生まれた北宋の美術から江戸のブーム、さらに現代の漫画やゲームまでを全5章でたどるという、なかなか欲張りな構成になっている。 まず目玉は、歌川国芳の出世作「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」。現存する全74図が一挙に並ぶ。筋骨隆々、刺青を背負った豪傑たちが画面からはみ出さんばかりに暴れ回るこのシリーズが、江戸の『水滸伝』熱をいっそう煽ったわけで。大阪市立美術館の学芸員・八田真理子さんによれば、初摺に近い作品が多く、線の細さや繊細な表現は実物でこそ分かるとのこと。図版で見知った気になっている向きこそ、足を運ぶ値打ちがありそうだ。 その手前に置かれた北宋パートがまた渋い。明の万暦5年に描かれた趙浙の「清明上河図」(重要文化財)、汝窯の「青磁 水仙盆」、磁州窯系の梅瓶と、豪傑たちが駆け回った時代の都の空気を、器と絵巻で先に吸わせてくれる趣向らしい。唐本や書画をせっせと集めてきた身としては、このあたりの並びだけで一日つぶせる気がするなあ。 江戸の章では、曲亭馬琴と葛飾北斎の仕事、北斎の「百八星誕肖像」、明治に入って月岡芳年が描いた魯智深まで顔を揃える。そして現代パートには、さいとう・たかを「マンガ水滸伝」の原画、KONAMI「幻想水滸伝」のメインビジュアル、北方謙三『水滸伝』の直筆原稿、さらに連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」の衣裳。プレイステーションで108星を集めた世代にとっては、ここが本丸かもしれない。 八田さんは研究者との対話で「水滸伝には、現代の日本人が思う“カッコいい”が全部詰まっている」と気づいたそうで、千年近く前の義侠の物語が、浮世絵にも劇画にもゲームにも化けてきた理由は、たぶんそれに尽きる。会期は11月8日まで、会期中に一部展示替えもあるので、行くなら二度三度と通う覚悟で。
梁山泊、東京駅に現る——「水滸伝」展、北宋の名品から国芳の豪傑74図、幻想水滸伝まで
国芳の「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」全74図に、北宋の名品、北斎、さいとう・たかを、ゲームまで。千年の『水滸伝』受容史が赤レンガの駅舎に集結した。
梁山泊の百八人が、とうとう東京駅の赤レンガに立てこもった。9月19日、東京ステーションギャラリーで「水滸伝」展が幕を開けたんである。大阪市立美術館で7月から9月6日まで開かれていた展覧会の巡回で、中国四大奇書のひとつ『水滸伝』を入口に、物語が生まれた北宋の美術から江戸のブーム、さらに現代の漫画やゲームまでを全5章でたどるという、なかなか欲張りな構成になっている。 まず目玉は、歌川国芳の出世作「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」。現存する全74図が一挙に並ぶ。筋骨隆々、刺青を背負った豪傑たちが画面からはみ出さんばかりに暴れ回るこのシリーズが、江戸の『水滸伝』熱をいっそう煽ったわけで。大阪市立美術館の学芸員・八田真理子さんによれば、初摺に近い作品が多く、線の細さや繊細な表現は実物でこそ分かるとのこと。図版で見知った気になっている向きこそ、足を運ぶ値打ちがありそうだ。 その手前に置かれた北宋パートがまた渋い。明の万暦5年に描かれた趙浙の「清明上河図」(重要文化財)、汝窯の「青磁 水仙盆」、磁州窯系の梅瓶と、豪傑たちが駆け回った時代の都の空気を、器と絵巻で先に吸わせてくれる趣向らしい。唐本や書画をせっせと集めてきた身としては、このあたりの並びだけで一日つぶせる気がするなあ。 江戸の章では、曲亭馬琴と葛飾北斎の仕事、北斎の「百八星誕肖像」、明治に入って月岡芳年が描いた魯智深まで顔を揃える。そして現代パートには、さいとう・たかを「マンガ水滸伝」の原画、KONAMI「幻想水滸伝」のメインビジュアル、北方謙三『水滸伝』の直筆原稿、さらに連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」の衣裳。プレイステーションで108星を集めた世代にとっては、ここが本丸かもしれない。 八田さんは研究者との対話で「水滸伝には、現代の日本人が思う“カッコいい”が全部詰まっている」と気づいたそうで、千年近く前の義侠の物語が、浮世絵にも劇画にもゲームにも化けてきた理由は、たぶんそれに尽きる。会期は11月8日まで、会期中に一部展示替えもあるので、行くなら二度三度と通う覚悟で。
サダキチ・ハートマン
出島生まれ、ドイツ育ち。渡米して英語圏に俳句を伝えた異色の詩人・美術批評家
今号の「こんな人」はこの御仁、サダキチ・ハートマン(1867〜1944)。長崎の出島で、ドイツ人貿易商の父と日本人の母のあいだに生まれ、母は産後まもなく亡くなったそうな。幼くしてハンブルクへ送られ何不自由なく育てられたものの、士官学校を飛び出してパリへ家出、勘当されて今度はアメリカへ叩き出されるという、序盤からして波乱含みの人生やなあ。 渡米後は年老いたウォルト・ホイットマンと親交を結んで『ホイットマンとの対話』を著す一方、俳句や短歌といった日本の詩形を英語圏にいち早く紹介した先駆者としても知られている。晩年はグリニッジ・ヴィレッジで“ボヘミアンの王”を自称し、1924年の映画『バグダッドの盗賊』に宮廷魔術師役でちょこっと出演までしているというから、肩書きが多すぎて紹介しきれん。国境も肩書きもまたいで生きた、なかなかおもろい人物やと思う。
サダキチ・ハートマン
出島生まれ、ドイツ育ち。渡米して英語圏に俳句を伝えた異色の詩人・美術批評家
今号の「こんな人」はこの御仁、サダキチ・ハートマン(1867〜1944)。長崎の出島で、ドイツ人貿易商の父と日本人の母のあいだに生まれ、母は産後まもなく亡くなったそうな。幼くしてハンブルクへ送られ何不自由なく育てられたものの、士官学校を飛び出してパリへ家出、勘当されて今度はアメリカへ叩き出されるという、序盤からして波乱含みの人生やなあ。 渡米後は年老いたウォルト・ホイットマンと親交を結んで『ホイットマンとの対話』を著す一方、俳句や短歌といった日本の詩形を英語圏にいち早く紹介した先駆者としても知られている。晩年はグリニッジ・ヴィレッジで“ボヘミアンの王”を自称し、1924年の映画『バグダッドの盗賊』に宮廷魔術師役でちょこっと出演までしているというから、肩書きが多すぎて紹介しきれん。国境も肩書きもまたいで生きた、なかなかおもろい人物やと思う。
主役の座 今宵ばかりは 家康に 四天王も 目を丸くする
─ にわか歴女 ─
主役の座 今宵ばかりは 家康に 四天王も 目を丸くする
─ にわか歴女 ─
というわけで歴ファン.net、2026年9月号をどうにか貼り出せたわけです。今回は大河『豊臣兄弟!』の史実改変論争に、恒例の会津まつり、GHQ特集、そして徳島のモラエスさんと、時代もジャンルもバラバラな4本立てになったけど、こういう雑多なもんを一つの卓に並べるのが、わしは一等好きでしてな。かわら版のコーナーにも小ネタを色々並べてみたが、これも立派な歴史ネタということでひとつ。今月はまだ月半ばやし、面白いネタが出てきたらこのページにどんどん追記していく予定です。ほな、また次のクリッピングで。
というわけで歴ファン.net、2026年9月号をどうにか貼り出せたわけです。今回は大河『豊臣兄弟!』の史実改変論争に、恒例の会津まつり、GHQ特集、そして徳島のモラエスさんと、時代もジャンルもバラバラな4本立てになったけど、こういう雑多なもんを一つの卓に並べるのが、わしは一等好きでしてな。かわら版のコーナーにも小ネタを色々並べてみたが、これも立派な歴史ネタということでひとつ。今月はまだ月半ばやし、面白いネタが出てきたらこのページにどんどん追記していく予定です。ほな、また次のクリッピングで。